WBSSの決勝から1週間が過ぎました・・・・。

あちらこちらで戦評が述べられていますが井上の評価が下がったようにいう方もおられますが果たしてそうでしょうか?

もちろんそうだったかもしれません。

 

しかし私は打たれ強さが証明された点、想定外の事が起こった場合の対処などがわかっただけでも弱点がなくなったと思っています。

スピード、テクニック、パンチ力など個々の能力の点でははっきりと井上が上であると確信を持ちました。

あの激闘の原因、そして9ラウンドの大ピンチの原因はひとえに2ラウンドに食らったドネアの左で目を負傷した事につきると思います。

 

「7年前のドネアであればあそこで畳み掛けてKOしていた」というご意見も少なくありませんがこれも私は少々短絡的はないかという気もしています。往年の名ファイターがキャリアの終盤に差し掛かった頃に全盛期を彷彿させるあるいはそれ以上の生涯ベストパンチを見せるということもよくあります。例えばジョー・ルイスのウォルコット戦2やチャチャイ・チオノイの大場政夫戦などですかね・・・。

 

あの左は私はドネアの老獪な罠であると申しましたが、人によってはドネアが持って生まれたナチュラルタイミングという意見もあり、井上の慢心という意見もありましたが私は全てが当てはまるかなと思います。慢心は少々言葉が悪いですが井上の読みをドネアの老獪さが少しだけ上回ったという瞬間ではなかったでしょうか?

 

つまりわずかな違いがあの激闘を生んだのであってもう少しパンチが浅く、目の負傷がなければ早いラウンドで井上がKOしていたかもしれませんし、もう少し深ければ決定的なダメージを井上に与え、番狂わせが起きたかもしれないということです。

 

ドネアの全盛期であってもあのパンチを井上が喰らったかどうかはわからない、食らってもトドメをさせたかどうかもわからない。個々の能力の差で井上が勝ったかもしれませんしそうじゃなかったかもしれない。

何よりそんな悪条件の下、勝者は間違いなく井上でありその判定に異を唱える人はほとんどいないと思われます。たとえ11ラウンドのダウンがなくてもです。

 

そしてもう一つ想像するにドネアと再戦したところで今度はドネアもあれ以上の試合はできないのではないかと思います。

そして井上の力に底が見えたかどうかはもう少し見てみないとわからないということです。

 

「フェザーでは通用しない」、「弱点を晒した」、「相手に与える恐怖がなくなった」というのは完全否定はしないまでも尚早であると思うということです。そういった意味では相手も日時も決まっていない段階ながら今まで以上に井上の次戦に注目ですね。

 

もう一つ仮にですがあの試合でもドネアの衰えが顕著であって全盛期のドネアであったら難なく井上を仕留めていたであろうという説が正しかったとしたら・・・、36歳にしてドネアに挑み、敗れたもののドネアに「見た目はイーじに見えたかもしれないが最もシビアな戦いであった」と言わしめた西岡利晃の評価が上がろうというものですよね。私は元々西岡利晃は非常に評価しており私見ながら長谷川穂積より力量は上であったと思っておりますがその私の評価よりさらにあげねばならなくなるかもしれませんね。

 

しかし、残念ながら?井上戦でのドネアは確かに全盛期ではなかったものの、全盛時代にはなかった老獪さを見せそのベストパンチが井上を追い詰めたわけですから、西岡利晃の評価は私の中では従来通りの評価です。

素晴らしいショットで若き王者をピンチに陥れたドネアもそしてそれを跳ね返して明白勝利した井上も両者にあっぱれという事。今言えることはそれだけであると私は思います。

井上の力の底がどうのという話は慌てなくとも近々分かることです。