鷹司孝子という名はご存知の方も多いと思います。
鷹司家は京都の5摂家のひとつです。鷹司信房の娘として生まれ3代将軍家光の正室になるのですがこの2人は全く夫婦生活が成立せず、形だけの夫婦だったようです。通常、将軍正室は御台所と呼ばれるものですがこの孝子は結婚してほどなく本丸から中の丸へ移され「中の丸殿」と呼ばれたそうです。
これは家光が幼少の頃より母親の江が弟の国松（忠長）ばかりを偏愛しておりそのため乳母の春日局と母江との確執を見て育ったため、妻という制度を反発していたとかあるいはそれが元で女嫌いになり衆道（ホモ）に走ったという説があります。
一方、父、祖父が定めた禁中並公家諸法度にて朝廷を自分の監視下に置くつもりがあったためか次期将軍の外祖父として鷹司家の権力が強まる事を恐れた（嫌った）ため摂関家の娘である孝子を嫌ったなどという説がありますね・・・。
この夫婦は公式行事で顔を合わせる以外はほとんど交わる事もなく息子の家綱や綱重、綱吉らと養子縁組を一切結ばせなかったそうです。
家光の死去後もわずかな形見分けがなされたものの正室とは思えないほど質素なものであったそうです。
原因として云われる上記の説のどれが正しいのかあるいはいずれも違うのかわかりませんが言える事は孝子には何の罪もなく、親から命じられるまま見知らぬ土地へ輿入れし、そこで夫から意味なく嫌われ本丸から追われ、中の丸でいわば軟禁生活を強いられたわけです。なんと可哀想な女性だったでしょうか・・・。
救いは家光の嫡男の家綱がたびたび孝子を訪れ、息子として孝養をある程度は尽くしたことでしょう。それでも孝子が亡くなったあとは家綱も喪に服する事はしなかったそうです。これは亡き父に気を使ったのかもしれませんね。
大河ドラマ「葵三代」の最終回で家光が中の丸に孝子を訪ね
「公家の娘という理由だけで罪のないそなたを遠ざけてしまった。許せ、若気の至りであった」
というシーンがありましたがほんとうにそういう言葉を孝子にかけてあげていたのなら良いなという脚本家（ジェームス三木氏）の希望的推察ではないでしょうか・・・。
また時代劇での「松平長七郎」は家光の弟忠長の忘れ形見で伯母である孝子とよしみを通じているという設定もあったそうですが残念ながら松平長七郎が実在の人物ではありませんのでこれもあり得ない話ですね・・・・。
私は別にフェミニストという事ではないと思いますがもう少し、家光も気を使ってあげればと思います。彼の尊敬する祖父は全く愛情のない旭姫にかなり気を使い優しく接していたそうですしね・・・・。
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