カラマーゾフの兄弟(1) (光文社古典新訳文庫) [ フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス ]
楽天市場
法律事務所で仕事をしていると、日々さまざまな人と接します。依頼者も相手方も、それぞれ異なる性格や事情を抱えています。そんなとき、ふと思い出すのがドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』です。
村上春樹さんは、「世の中には2種類の人間がいる。『カラマーゾフの兄弟』を読み終えた人間と、まだ読んでいない人間だ」と述べています。読み進めると、その意味がよくわかります。長男ドミトリー、次男イワン、三男アリョーシャ――三兄弟の性格には、人間の複雑さや矛盾、善悪への迷いが鮮やかに描かれています。
俳優の堺雅人さんは、役作りに困ったら三兄弟の性格を濃淡で混ぜれば全人間を演じられる、と話していました。弁護士として考えても、これは示唆に富んでいます。人間の行動や心理は単純ではなく、善と悪、理性と感情、責任感と逃避の間で揺れ動きます。そのバランスを理解することは、法律相談や交渉にも役立ちます。
例えば、三兄弟を依頼者タイプに当てはめてみると――
読んでみると、ページをめくる手が止まりません。事件や罪の問い、家族間の葛藤、信仰と疑念――テーマの重厚さに圧倒されつつ、「ああ、人間はこういう生き物なのか」と実感できます。法律文書や判例だけでは見えてこない、人間の生の心理がここにはあるのです。
私自身、まだ読み終えたばかりですが、仕事で接する人々の行動や選択を理解するヒントが、この物語には散りばめられていると感じています。弁護士として、あるいは一読者として、『カラマーゾフの兄弟』を手に取ることは、人間を理解するためのひとつの方法と言えるでしょう。