顧問料が振り込まれない——まさかの「自然消滅」?
御堂筋のイチョウ
「先生、〇〇社からまだ入金がありません。いつもきちんと25日には着金するようにしてくださっているのに…」
昼下がり、事務員さんが浮かぬ顔でデスクにやって来られました。
「あらー。少し待ってみましょうか。」
軽く返したものの、1日、2日と経っても入金の気配はありません。
どうしましょう。
まさか自然消滅?
遠距離恋愛じゃあるまいし、上場企業との顧問契約が自然消滅なんてこと、ある?
〇〇社は、業界大手の優秀な営業マンであった社長が一から興し、並走して20年以上。途中で新規上場も果たされた企業です。
イケイケ営業マンだった社長の気風が社風となり、業績は急拡大。
その勢いゆえに、時折「無理な営業があったのでは…?」という案件も舞い込み、クレーム対応に走ることもありました。
けれども今や、私の研修・指導の成果(?)と、社員の皆さんの地道な研鑽の賜物で、相談はめっきり減りました。
たまに契約書をチェックする程度では、正直、月々の顧問料をいただくのが恐縮に感じるほどの“優良企業”へと変貌されたのです。
「仕方ない。もう私の役割は終わったのかもしれない。
顧問契約解除のご相談があれば、気持ちよく応じよう。」
そんなことを思いながら迎えた、今月28日の夕刻。
私の携帯が鳴りました。
〇〇社の取締役クラスの方からです。
——ああ、ついに来たのね。
礼を尽くして、丁寧に顧問契約の終了を知らせてくださるのだろう。
私は覚悟を決めて電話に出ました。
ところが。
電話口の相手は、口ごもり、深々と謝られるのです。
「先生、すみません…ごめんなさい。」
そんなに謝らないでください…。
顧問弁護士として勉強させていただき、成長させてもらったのはこちらの方なのに。
おそるおそる用件を伺うと、
「ごめんなさい。分社化手続きの中で、経理への連携ミスがありまして…先生への顧問料の振り込みができていなかったことが、いま判明いたしました。週明け、必ず着金させます。月は跨いでしまいますが…まずはお詫びを、と、お電話しました。」
えええ、そんな理由だったんですか。
そして、そんなに丁寧にお詫びまで…。
ただただ恐縮するばかりでした。
そんなに謝らないでください。
私、そんなに怖いですか?
(たぶん怖いんでしょうね、少しだけ。)
