アサヒビール大山崎山荘美術館「美術館で大航海」展にて ― 天王山中腹の奇跡 | 大阪の弁護士•長野智子(智聖法律事務所)

アサヒビール大山崎山荘美術館「美術館で大航海」展にて ― 天王山中腹の奇跡



ワクワクさせられる入り口


山荘美術館


テラスからの眺め


安藤忠雄さんの設計した【新館】


明智光秀の「三日天下」で知られる山崎の戦い。その古戦場を望む天王山の中腹に、ひっそりと佇む美しい建物があります。

それが、アサヒビール大山崎山荘美術館です。


この山荘を築いたのは、実業家・加賀正太郎氏。

彼は京都・大阪・奈良の境に位置するこの地を選ぶ際、単に交通の便や眺望だけではなく、「ここには世界に誇る風光がある」と確信していたと伝わります。


実際、ここからは桂川・宇治川・木津川の三川が合流して淀川となる雄大な流れが一望できます。

まさに戦国の時代においては天下分け目の地であり、近代においては芸術と文化の交わる場所でもあるのです。


加賀氏はこの風光明媚な丘陵地を「イギリスの名勝にも劣らない」と惚れ込み、自ら設計に携わりながら理想の山荘を築き上げました。

石造りの洋館にレンガの温もり、英国風ガーデンと和の静けさが見事に調和しています。


完成後には夏目漱石夫妻を招いておもてなしをしたという逸話も残っています。

漱石からはいくつか山荘の名前案が示されたものの、加賀氏はそれらを採用せず、最終的に「大山崎山荘」と自ら命名。

この潔さにも、山荘への深い思いと自負が感じられます。