なまけ者のさとり方 PHP文庫
Amazon(アマゾン)

前回の記事では、タデウス・ゴラスの『なまけものの悟り方』を
「頑張りすぎない勇気」という視点から紹介しました。
今回はその続編として、“比べない”“完璧を求めない”という生き方に焦点を当てます。
■ 1.「比べない」ことで、自分のリズムが戻る
私たちは知らず知らずのうちに、他人と自分を比べています。
けれど、弁護士として多くの人生に触れて感じるのは、
人にはそれぞれ違う速度があるということ。
誰かの成功に焦るより、「今の自分に必要なこと」に集中する。
この切り替えができると、日々のストレスがぐっと軽くなります。
“比べない勇気”は、静かで確かな自信につながります。
■ 2.完璧を求めず、「まあいいか」と微笑む力
ゴラス氏は「悟りとはリラックスすること」と言います。
弁護士の仕事ではなかなか使わない言葉ですが、
実は、これは本質を突いています。
完璧な準備、完璧な論理、完璧な結果──
それを追い続けるほど、心が張りつめてしまう。
ときには「ここまでで十分」と手を止めることが、
次に良い仕事を生むのです。
“なまけもの”の哲学は、「手を抜く」ではなく、「手を止める」知恵。
その静けさが、思考の整理と回復をもたらします。
■ 3.余白が、信頼を生む
石田ゆりこさんが「頑張らないと決めたら、仕事がうまくいくようになった」と語っていたことがあります。
この言葉はまさに、ゴラス氏の考え方と響き合います。
余裕を持つことは、怠けではなく、人との関係を良くする力。
焦らず、ゆとりをもって対応することで、
依頼者や同僚との信頼関係が深まります。
『なまけものの悟り方』は、そんな“余白のある生き方”を静かに教えてくれる一冊です。
■ 結び:力を抜いても、人生はちゃんと進む
タデウス・ゴラスが伝える「悟り」とは、
何かを得ることではなく、力を抜いて今を受け入れること。
忙しい毎日の中で、
「少し立ち止まっても大丈夫」「完璧じゃなくてもいい」
そう思える瞬間こそ、人生のバランスが戻るときです。
『なまけものの悟り方』は、
静かに、自分を取り戻すための道しるべのような一冊です。