「超能力よりも“人間関係力”が大事?──弁護士が『斉木楠雄のΨ難』から学ぶ、社会で生きる知恵」 | 大阪の弁護士•長野智子(智聖法律事務所)

「超能力よりも“人間関係力”が大事?──弁護士が『斉木楠雄のΨ難』から学ぶ、社会で生きる知恵」


アニメ『斉木楠雄のΨ難』の主人公・斉木楠雄は、あらゆる超能力を持ちながらも「普通に生きたい」と願う高校生です。

他人の心を読め、物を動かし、時間を止めることすらできる。

それでも彼が最も苦労しているのは、「人間関係」です。


これは、弁護士業務にも通じるものがあります。

法律の知識や交渉技術といった“能力”がどれほど高くても、依頼者や相手方、裁判官、同僚などとのコミュニケーションが噛み合わなければ、円滑に問題を解決することはできません。


斉木が周囲との関わりを避けようとする一方で、個性の強いクラスメイトたちが次々と彼の世界に踏み込んできます。

誰かが自分の思惑を超えて関わってくる――弁護士の現場でもよくあることです。

依頼者が想定外の行動をとる、相手方が急に譲歩してくる、裁判所の心証が変わる。

そのとき必要なのは、能力ではなく「状況を柔軟に受け止める力」です。


また、斉木がしばしば見せる「一歩引いた視点」も示唆的です。

彼は感情的にならず、常に冷静に状況を俯瞰します。

弁護士として、依頼者の感情に寄り添いつつも、俯瞰して判断を下す――まさに理想的な姿勢です。


最後に印象的なのは、斉木が「人は厄介だが、完全に一人では生きられない」と気づく瞬間です。

弁護士も同じです。

依頼者がいて、裁判所があり、相手方がいて、初めて仕事が成立する。

どれほど能力があっても、人との関わりを避けては成立しません。


『斉木楠雄のΨ難』は、超能力コメディでありながら、実は「社会の中でどう自分を保つか」という普遍的テーマを描いた作品です。

超能力よりも大事なのは、“人間力”。

それは、法律の世界でも同じだと感じさせられます。