富山・岩瀬地区で味わう非日常 ― 歴史と美食が教えてくれること
今年、ニューヨークタイムズ紙が発表した「2025年に訪れるべき世界の52箇所」に、日本から堂々と選ばれたのが富山です。先日、私も富山を訪れる機会を得て、その理由を肌で感じることができました。
まず訪れたのは、ガラス工芸の街として知られる富山市。透明感のある作品の数々は、厳しい冬と澄み切った水、そして豊かな自然環境が育んだものだと感じます。その後、足を延ばして訪れたのが岩瀬地区。かつて北前船の航路の拠点として栄え、今も往時の風情を残す街並みが広がっていました。歴史と生活の息遣いが感じられるこの場所は、単なる観光地というより「時を越えた生きた空間」といえるでしょう。
そして今回の旅の大きな目的の一つが、岩瀬にあるディスティネーションレストラン「Gejo」。新鮮な海の幸、特に富山湾名産の白エビを中心とした料理は、素材の力を最大限に引き出し、非日常のひとときを与えてくれました。単に「美味しい」という言葉では足りない、文化や自然への敬意が一皿ごとに込められているように感じられました。
このような体験を通して改めて思うのは、「地域の歴史や文化を未来につなぐ力」の大切さです。北前船がもたらした交流や富の蓄積、海と共に生きる人々の知恵、そして今も受け継がれる食文化や工芸。その連続性があるからこそ、現代の私たちが新たな価値を見いだし、世界からも注目を浴びる場所となるのだと思います。
法律の現場では、過去の判例や制度を踏まえながら現代に即した解決策を導きます。富山の街並みや食に触れて感じた「過去と現在、そして未来をつなぐ」営みは、法律の世界とも通じるものがあります。
富山を訪れて得られた非日常の体験は、観光という枠を超え、社会や人の営みの本質に触れる時間でした。これを日々の実務にも生かしつつ、私自身も「歴史と未来をつなぐ一人」でありたいと強く感じています。