ラテラル~水平思考推理の天使~ 電撃文庫

作者 乙野四方字(おとのよもじ)

 

あらすじ

・謎を解く事が生きがいの少年【鳩ノ巣論】(はとのす ろん)

高校二年の一学期初日、新しいクラスで論の後ろの席になったのは、

<全身白ずくめ>の奇妙な女子生徒だった。

【瑞平すすめ】。極限まで肌を隠し、合成音声で自己紹介をする不可思議な少女。

論が、その少女と偶然のアクシデントをきっかけとして肌を触れ合わせた瞬間……突如世界が暗転した。

<ようこそ!【状況空間】(シチュエーション・エリア)へ!>

自身を『天使』と名乗る謎の存在が支配する、闇の空間に引きずり込まれた論。

彼は、その空間とすすめの謎を解き明かすため、『天使』が生み出す謎の【状況】の【解明】に挑む。

 

感想~ネタバレなし~

 

この作品を読む前に、

同作者の『君を愛したたったひとりの僕へ』と『僕が愛したすべての君へ』を読み、この作者は他にどんなのを書いているんだろうと、調べたところ<水平思考>というとても目を引く文字を見付けました。

以前から水平思考クイズが好きで、中でも最も有名な『ウミガメのスープ』の回答を読んだときの衝撃は…もう…(;O;)

ただ、いろいろな書店をまわるが、まあ見つからない。

 

書籍はネットでは買わないという変なこだわりを持つわたくしは、それから1か月ほどお預けをくらってしまいました。

 

前置きが長くなりましたが、内容はとても楽しめました(^^)

登場キャラクターはみんな高校生であり、若干の年の差はあるものの、なかなか入り込んで読むことが出来ました。

その理由としての一つは作者と同じ出身地ということもあるのでしょう。

各章の初めに問題文が有り、その章で主人公たちがその問題を解いていくという流れで、主人公たちと一緒に問題を楽しめると思います。

 

ストーリーもなかなか面白く、各話完結ではなく、徐々に大筋の謎が明らかになっていくという感じです。

 

本の最初に登場人物の絵がカラーで有り、挿絵もところどころ有るので読みやすく、普段小説を読まない方でも楽しめるのではないかなと思いました。

 

是非読んでみてください。

 

 

この後はネタバレ有りの感想になります(^^)

 

 

 

まず主人公論と幼馴染の結瑠の関係性には若干の違和感はありました(^_^;)

朝起こしに行くのは良しとして、その後愛の言葉を伝える結瑠もまあよしとしても頬と額に口づけをする幼馴染はいないだろうと。

ただ過去の事故や、愛とは何なのかを思い出させようとする為には、あそこまでする必要があるのかもしれないかなと多少は思います。

まあわたくしが学生時代にそれをされていたら、朝っぱらから理性は弾けとn…

 

また、途中何度かこの問題見たことあるなと思うこともあったのですが、作者によるあとがきで、作者ご自身が作り、ネットに投稿していたと知りなぜか嬉しい気持ちになりました(^^)

 

あ、知らないうちにこの人と繋がっていたんだなと。

 

世の中何がどう繋がるか、本当に分からない物ですね(^^)

 

物語の最後に語られた、【状況空間】の中にいる天使ウミエルはすすめだったという事実。

これは現実世界のすすめが中で話しているのか、それとも当時の人格が話しているのか……

(外で私の声を聞いてあげてとか、どこか他人行儀な部分があるし、論が初めて状況空間に入った時、初めての人みたいな言い方してたし)

 

おそらく、中と外で記憶といった部分は共有しお互いがお互いをふかんで見るような、一種の二重人格的間柄だったのではと思います。(あくまで主観的意見です)

 

ただ、もしも中と外が同一人格だったならと思いながら、論たちとの対話を読み返すと、なかなかくすりと笑えてこれもありだと思いました。(^^)

ただそれだとところどころ辻褄が合わなくなるのでやはり違うのかな(^_^;)

 

最後に、すすめが論に対して言いかけた

<あには、y>

が何と打とうとしたのかが気になります。

誰か教えてください。考えてください『その問題、解き尽くしてやる』と……(^^)

 

同作者の小説感想です↓

君を愛したひとりの僕へ感想

僕が愛したすべての君へ感想