やはり
ちあきなおみ
そう思う
最後のアルバムを出したとき
新入社員の自分は
バタバタと会社からリゾートレコーディングスタジオに向かう途中で
タワレコに寄って
アルバムを買った
忙しい最中だったけれど
再生した途端に引き込まれて
全編が
素晴らしいアルバムだった
紅い花
シングルだったこの曲を
何度かテレビで歌うちあきなおみ を見た
なんだか
やはり、こんな歌い手は他にいない
日本のどんな歌手よりも
この人は抜きん出てすごい
しっとりと
静かなこの曲を
こんなにも奥深く
心の琴線に触れる
声が染み入っていく
そして
程なく
ちあきなおみ は
表舞台から消えた
ご主人が亡くなって
もう歌うことをやめた
それから
30年
何度か訪れた
ちあきなおみ 再評価の波
けれど 復活することはなく
静かに
メディアに出ることもなく
どこかで
ちあきなおみ は生きている
このうえなく
戻って欲しいけれど
ちあきなおみ
らしい
見事な幕引き
その潔さ
そのことさへも
ちあきなおみ が
唯一無二
孤高の存在だった証だと思う