夏咲きの原種シクラメン プルプラセンスは花の最盛期が終わり、ツボミが上がってくる速度がゆっくりになってきました。もう1つの夏咲き種コルチカムは、うちでは毎年9月に開花の最盛期を迎え、授粉作業の真っ最中です。

 

葉模様を持つ個体が多い中で異色の存在、無地葉の選抜品種「デアドラ」です。

ノーマルタイプの葉も落葉直前には模様が目立たなくなりますが新葉にはくっきりと模様が入ります。それに比べ「デアドラ」は新しい葉も完全無地、黒々としていて葉脈が浮かび上がって見えます。

Cyclamen colchicum ' Deirdre'

 

プルプラセンスは葉模様が多彩でいくつかの選抜品種がありますが、コルチカムは「Genus Cyclamen」に掲載されている品種はこの「デアドラ」のみです。

 

「デアドラ」とはアイルランド神話に登場する悲劇のヒロインの名前。この手のお話にはお決まりの絶世の美女で、最期は愛する人を想い命を落とすとのこと。力強い印象の深い緑色の葉から、悲しみに暮れる一途な女性の心を想像して名付けたのでしょうか?

作出したオランダのグリーンアイスナーセリー(現在は閉園しています)のJan Bravenboer氏に真意の程を伺ってみたかったです。

Cyclamen colcum ' Deirdre'

 

調べてみると川に沿った急斜面の日陰に自生するとのこと。確かに遮光して栽培しても、葉柄・花柄が短くコンパクトにまとまります。

特に子苗のうちは葉が低く展開するため、丁寧に灌水しても葉に水がかかることが多く、開ききっていない葉のくぼみに溜まってしまうので、そのつど拭き取るようにしています。

Cyclamen colchicum ' Deirdre'

 

コルチカムは常緑種なので夏も乾かさずに管理しますが、うちではプルプラセンスよりも灌水を控えめにした方が機嫌良く育ちます。