9歳の葛藤
お稽古前とお稽古終了後、
塾ではいつも一人黙々と宿題やお稽古での直しをこなしているある生徒。
塾内で、圧倒的お稽古量をこなす日常の彼。
入塾時は、珠算級の進級も、九九のお稽古もお稽古時間内に入れているところからお稽古は始まったにも関わらず、
入塾2年で珠算2級合格もあるのでは、、、というハイスピードな状況です。
成績表を見ても、ムラがなく、実直に成績を伸ばしてきました。
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安定感抜群な彼の、珠算上位級検定後のある日。
おうちの方から
「彼が、上位級になり難易度もあがり、そろばんを辞めようか迷っている。」
とのお話がありました。
講師としては、余りに意外で驚きでした。
そう聞いて成績表を見ると、
わずかながら成績の停滞やムラが見られるものの、
講師には今の彼の状況を知ったからこそ感じられる程度です。
彼には、
自分のことに悩む時間は貴重で尊い。
何かを出来るようになるばかりがすべてじゃない。
時には立ち止まって自分と向き合う時間も大事。
そんなお話をしました。
それから少しした後のお稽古日。
彼はお稽古終了後、いつも通りの終い支度をしていました
タイマーを片付ける際、
いつになく激しい音を立てながら
他生徒が使った数あるタイマーの整理整頓に励む彼。
どうしたのかとも思いましたが、特に声掛けはしませんでした。
後で知った事ですが、
実は、彼は辞める決断をし、自分で先生に辞めると言うと、お家の人に宣言して塾の
お稽古に来ていたそうです。
私はそれを知らずにいつも通りのお稽古をしました。
結局彼は、
一言も辞めるとは言わなかった。
あの激しい音は、彼の葛藤の表れだったと思えてなりません。
今日この時まで手を抜かず、一生懸命お稽古に励み続けた彼。
お稽古級が進み、彼にとっては行き詰まりを感じていたようです。
私からすれば、何一つ問題なく感じていても、
彼にとっては、目標点や検定合格が今までと違い遠いものになっていたのでしょう。
わずか9歳の彼の無言の葛藤の時間。
こんな日があったことは、いずれ忘れていくことかとは思いますが、
自身を知り自身を活かす、
その為には、必要な時間だったと思えてなりません。
京大個別会珠算塾ピコ塩屋校
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