大阪府では平成24年度から、新会計制度を導入します。


これまでの会計制度は「単式簿記」「現金主義」というルールに則って処理され、その結果、資産がいくらあるのか?サービスを提供するためにコストがどれくらいかかっているのか?という基本的な財務状況でさえ正確に表していませんでした。赤字隠しや粉飾の温床になる可能性があり、透明性のある仕組とは程遠い状況です。


これは大阪府民に対して情報開示が不十分だっただけではなく、『孫子の兵法』に「彼を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉があるように、自らの財務状況を知らずして、適切な自治体経営が行えるとは到底思えません。


より戦略的に地域経営を実践するために、行政の財務状況を一般の企業に合わせて、マネジメントを行う組織自身が正確に把握し、内容を住民に徹底的に開示する、新しい会計制度がスタートします。


下のリンクは、大阪府が新しい会計制度で試算した内容です。企業会計からすれば当たり前の決算書ですが、これまでこんな財務諸表すら出していませんでした。


大阪府議会議員 永藤英機オフィシャルブログ


この財務諸表を見ると、大阪府の借金は6兆円あるけれども、一方で資産は8兆円あり、仮に資産が全部売却できたとすれば2兆円手元に残ることが分かります。(純資産)


新聞などの報道では「借金が○兆円!」とか「毎年○億円の赤字!」とか不安になるような文字が躍りますが、財務諸表を読み解くと見出しの派手さによらず、真実を知ることができます。(もちろん、資産を簡単に手放すことはできませんし、大阪の財政が厳しいのは間違いありません)


さて、今の大阪府と大阪市は知事と市長が協力をして同じ方向性で進んでいます。この大きなメリットが会計制度にも現れています。


大阪市の橋下市長は先日、2014年度にも大阪府と同じ会計制度を導入することを決めました。同じ仕組みの制度を使用することで、大阪府と大阪市の資産や収入、コストの合算・比較が容易に出来ることになります。システムの統合には大変な手間が掛かりますが、幸いなことに大阪府と大阪市は偶然同じシステム業者に発注しているということですので、幾分ハードルは下がるかもしれません。


大阪の新しい会計制度、要注目です!