遠い国の小さな花嫁  あべちか | 撫子♪のブログ

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丹下道先生の作品がきっかけとなり、ブログをはじめました!商業BL作品への熱い思いを個人視点で書いてます♡
BLCDについても作品愛と声優さんのお芝居を語ります
備忘録としての腐内容あり、取扱いに御注意くださいませ♡

 
 

 

内容紹介

雪深い町に、遠い国から男の花嫁がきた。
たった一人で嫁いで来たサガルは、妻に先立たれ幼い息子を持つローランの妻になった。
貿易商の仕事で一年で冬の間しか町にいない彼の代わりに息子の子育てを担う一方で、寡黙だが優しいローランと穏やかで温かい夫婦の絆を紡いでいくサガル。
しかし彼には、夫には秘密にしている別の姿があった。
平和な幸せを壊したくないサガルだが、その素性を追う者たちが次々と町に現れ――。
 

あべちか先生

イラスト:六芦かえで先生

2019年11月

角川ルビー文庫

 

これは素晴らしい!

半年前に買ってあった積み本を

TLで流れてくる紹介文に誘われて読んだのですけれど

 

表紙に騙されたというのか

イラストに騙されたというのか…

いい意味で期待を裏切ってくれました

 

値段も1400円で本も厚い(文庫で2段、440P越え、電子だと600P越え)

お値段以上の約束はされているって思ってください

ちなみにエロス度は☆1個くらい

キスの描写は何度か

tnk弄る描写程度で挿✖なしです(BLデス)

…いやそれも大事だが

物語が面白いんです

これ、5時間くらいかかりました

繰り返し読んで2日楽しめました

途中でやめないで最後まで読んでほしいなと思う作品です

 

薄幸美人可愛い花嫁のように内容紹介から受けてとれましたが

いやいや戦闘機のような花嫁でした(どんなだよ!!)

何だろ??感想がとても書きにくい

ネタバレするけれど

物語が壮大で…(といいつつも魔法や魔獣などは出てこない)

 

主人公の攻め様(ローラン)は平民で貿易商、子持ち
受け様(サガル)は遠い国から嫁いできた男花嫁です

ローランの住んでいる土地は北方で夏の間は出稼ぎに出て冬の一瞬を家族で過ごすという暮らしです

ローランは冬に自宅に帰るまで、王都での行商と貴族の護衛をしている

彼らの出会いを読んでるとき

冒頭の結婚式のシーンで

花嫁を待たず宴会が開催

花嫁が到着してもその人物とは思われず

花嫁衣装も着ずに

二人の誓いの言葉を…

その誓いの言葉

「誓います」というべきところを

「なるべく」とローランはいい

サガルも「な、なるべく」と誓う

神父も

「なるべく、ダブルではいりましたー!」

っていう結婚式(笑)

ラブコメ?って思ったがとんでもなかった(戦闘機だって…比喩です)

その3日後には攻め様が王都へ出立してしまう

 

そういうことで二人の結婚は…幸せな生活というよりも

攻め様の息子を攻め様が王都に仕事に行っている間

育てていく…という??え、それだけ(笑)

 

この花嫁のこと

普通は物語を読んでいくとだいたい把握できるのですが

よくわからないんです

なので時々これは誰の視点で誰のセリフか?と考える章もあって

繰り返し繰り返し読みました

 

花嫁は「脱走兵」であり「裏切者」

花嫁以外にも「サガル」が大勢いる

とにかく「サガル」は誰のことなのか

ローランの妻のサガルなのか

それともほかの複数人のサガルなのか

サガルはお尋ね者なのか

妻のサガルは何者なのか…

遠い国のサガルとは…

ローランはサガルにそのことをきいたりしますが

ある特別な言葉しかサガルは話さない

ロランの質問に答えようと

口は動かしたくても言葉に詰まり「俺はサガルだ」だけになってしまう

 

どんどん引き込まれていきました

ベースに貴族の背景、王室も関わってくる

陰謀、潜入、暗殺、戦争、銃や機関銃、地雷に害虫駆除、人造人間

不穏な空気しか感じられない

物語が進んでいくにつれ

この描写はここに繋がるのか!という

脳内に血液がいきわたった感じですよ

とにかく「これ」がどこに繋がるのか

またそこに返って読み直したりと付箋もたくさん使いました

とにかくキーワードが多い

 

深い憎しみや悲しみがあらわになると

二人の

ささやかな生活の幸せ描写が癒しになって…

 

ローランの膝の上にちょこんと座り、サガルの額や口もとに落される

ローランのくちづけ

お風呂の中でローランに躰を預けて

足でバシャバシャとお湯をけって遊んでいるサガルにワタクシもローランの気持ちが痛いほど伝わってきました

 

これは本当に多くのBLファンに読んでもらいたいなと思います

あべちか先生の物語の構造の深さ(語彙力)がすごい

エロ描写がここまでないBLものならば読ませていかないと、という気持ちが入っているように感じられました

裏社会モノでもない(大好き)

警察モノでもない(大好き)

同級生ものでもない(大好き)

魔獣討伐のファンタジーでもない(大好き)

遠い国の小さな花嫁の物語だから