【小説ディアプラス・フユ号】
男性の全身でまず目が行くのは胸。
そんな仕立て屋の性をもつ蒼央(あお)が、顔も身体も全部が好みすぎる真嗣(まつぐ)から「俺のこと好きだよね?」と
甘く微笑まれたら……?
インフルエンサー × タイユール
オーダーメイドの恋
川琴ゆい華先生
イラスト:見多ほむろ先生
小説ディアプラス・フユ号
2018年
岩本薫先生とウノハナ先生のコラボの作品が読みたくて購入した雑誌から
いつものようにべりっと本を解体する
読みたいところは残すので
とっておいたものです
撫子大好き職業に「仕立て屋(タイユールはフランス語の仕立て屋です)」があります
ストイックな職業人
「仕立て屋」なんてフレーズが付いたBL本は買ってしまいます
仕事着がスーツ、最高じゃないですか
ちまちまと読んでいたので内容が途中で記憶になく
結局初めから読みました
フルオーダースーツ専門店「タイユール・ヴェール・マラン」の唯一のタイユール・スタッフを統括するマネージャーとして働く蒼央(あお
)仕事一筋で専門学校を卒業後20歳でフランスに渡り、タイユールの勉強をしていた
そこで日本人にハンティングされ帰国
もともと黙々と仕事だけをこなし
技術を磨いてきた彼は対人との関係が苦手で
スーツ以外の話がうまくできない
恋もしたことがない
対人関係に心の厚いシャッターを下ろしてしまうような人だった
クリスマスまでひと月余りのグランドオープン
プレオープン期間には雑誌やマスコミなどの取材が入り、事前に招待された業界人がやってくる
プレオープン最終日にやってきた男性
スポーツクラブで見かけるあの人だ
彼はスタイリストの吉成真嗣(まつぐ)、SNSでよく見かけるインフルエンサーだった
その彼と今度雑誌の企画を一緒にというもので
その中に
「初めてのオーダースーツ」…自分のスーツをオーダーする様子を取材するという企画を提案し
タイユールの蒼央に依頼をする
物語はスポーツクラブで見かけるあの人から始まっていたのだ
もちろん蒼央の存在に気が付く真嗣
真嗣ともう一人
スポーツクラブの友人と二人で蒼央のことを「雛鳥さん」と呼んで注目していた
初心者コースで黙々とメニューをこなす蒼央だが、その姿がカルガモの雛が様々な障害物を乗り越えていく姿に似ており、その姿を少し離れたところからそっと見守るような心地だったから「雛鳥さん」と勝手にあだ名をつけて呼んでいたという(笑)
雑誌企画の口実で飲みに誘ったりしながら二人の距離は近づいていく
しかも雛鳥さんがタイユールでスーツを着ているとものすごく素敵に見える
スポーツクラブで見かけるときの姿より色っぽくて100倍いい、増し増しの増し(笑)
もうお分かりだと思いますが蒼央は恋もしたことのない初心で健気な受けです
その彼のこころを真嗣が溶かしていく物語
クリスマスがキーワード
読んでいて
こんなに早くお近づきになれるのは仕事絡みか、など思っていたのですが
その前のスポーツクラブでお互い相手を意識していたことや
真嗣のPrivateゾーンに踏み込む親近感
蒼央の天然な告白(顔が好き、姿が好きなどと口に出して言う)
酔っぱらって真嗣の部屋に泊まった蒼央にチュッと口づけする真嗣
お互いがお互いにひかれあう姿が描かれ
これが可愛らしく健全風で好ましい
一気にこの関係が盛り上がっていくんだなと感じました
ストイックな蒼央のこじらせ方も可愛くて
それを知った真嗣の気持ち
この二人はプラトニックで終わるんか―いとページが少なくなって気になりましたが
「ちょっと前までは、添い寝でも満足してたんだけどね。お互いに好きって認めあったから、もう足りない。
俺のいう【好き】には綿辺さん(蒼央)とえっちしたいなっていうのも含まれています。」
という真嗣のセリフに
「僕、こ、こういうっ…したことないから」と恥ずかしがる蒼央が超可愛くて!
最後はちゃんと
クリスマスに
幸せで溶けそうな蒼央の姿が描かれていました
小説になったらまた一から読みたいです
見多ほむろ先生のイラストが穏やかで優しい二人にぴったりでした