今日はお酒やビールに書いてある”生”という言葉について少し
生卵や生魚に代表されるように、生という言葉がついた食品にはなんとなく新鮮さを感じる気がする。
お酒やビールについても生酒や生ビールのように頭に生がついた商品をよく見るが、日本の酒類においてはこの生という言葉は加熱処理の有無に関係している。
アルコール飲料は酵母という菌の働きによってグルコースがエタノールに変換される事を利用して作られているが、できたばかりのお酒は当然酵母を含む微生物が多く存在し、また微生物に侵入されて、お酒が悪くなってしまうリスクがある。
そのため昔はできたばかりのお酒は貯蔵する前と、出荷する前に火入れと言われる加熱殺菌処理を行ってお酒に含まれる微生物を殺す工程が必須だった。
しかし現在では濾過技術が進歩し、フィルターによってお酒の中から微生物や大型の粒子だけを取り除くことができるようになったため、加熱殺菌処理を行わなくてもお酒を出荷できるようになった。
こうして生酒や生ビールなどは加熱される前の味わいを保ったまま製品として世に出ているが、加熱の有無によって熟成過程のお酒の酒質の変化にも非常に大きな影響がある。
・日本酒を例にとってみる。
簡単に、麹菌によってお米のデンプンがグルコースに変わり、酵母によってグルコースがエタノールに変わるのが並行複発酵と呼ばれる日本酒製造の方法である。また同時に、微生物の生育に必要な色々な物質も作られるが、これらの成分は菌が持つ酵素の作用によって作られる。
酵素はタンパク質であり、加熱処理によって失活するという性質がある。
しかし生酒の場合、加熱処理が無いため、この酵素の働きが残ったままお酒が熟成へと進むわけ
である。(タンパク質まで除去できるフィルターもある)
従って熟成中の間でも酵素反応は進み、お酒の内部の成分は時間の経過に従って大きく変わっていく。
生ビールも同様に加熱処理を行っていないため、半年前のビールと今さっき買ったビールとでは味わいが全く違う事が分かる。
食品でもそうだが酒類についても、生とつくお酒は早めに飲んだ方が良い。
また火入れされているお酒についても、熟成は進んでいくため、あまり長期間置いておかずに飲んだ方が良い。
ちなみに日本酒のボトルには賞味。消費期限が書いていないが、加熱処理済みの普通酒なら約1年、生酒なら約半年が目安である。もちろん好みよっては、もっと熟成させた方が美味しいという人もいると思うのであくまでも目安。
それではこの辺で今日は終わり