『ヘカテ』(スイス、フランス、1982年)
を観た。
北アフリカのフランス植民地にフランス外交官として赴任したジュリアン・ロシェルは、
その地で一人で過ごす女性クロチルドと親密になるのだが・・・。
スイスの巨匠ダニエル・シュミット監督作品。
一時のアバンチュールを美しい映像で魅せる作品。
ストーリー
あらすじはは古今東西でよくある話で、
仕事の都合で異国を訪れた男性が、期間限定のアバンチュールに夢中になるといったもの。
異国で暇を持て余した主人公が謎の美女との逢瀬に夢中になるのは、そりゃあそうでしょう。
クロチルド=ヘカテ
そんな明白なあら筋ののなかでストーリーを彩るのはクロチルドの存在。
クロチルドは現地人ではなく、夫も伴わずに北アフリカのかの地に何の訳があってか滞在をしている。
そんな謎めいたクロチルドは、
主人公にとっては、何でも思い通りになる理想の女性に違いないのに
飄々としながらも堂々としているクロチルドを掴み切ることはできない。
クロチルドの台詞
「秘密なんてないわ」
「でも、匂わせると、自分の秘密を話してくれる」
はセクシーでいいよね。
クロチルドのことを地獄の女神ヘカテと重ね合わせるのは、
仕事が退屈で、クロチルドのことを考えるしかやることがないから。
クロチルドは魅力的で理想通りでいてくれるんだから、今以上に求めてはいけないのにね。
破滅に向かうのはクロチルドのせいではなく、主人公の退屈だけが原因。
主人公が勝手にクロチルドに夢中になっているだけなのに、地獄の女神ヘカテだって。
少年と親密にしていただけで、
ヘカテが犬を食らうように少年を食らうって妄想しだす。
あまりにも女性に夢中になっていると、彼女を単なる人間ではなく魔的な存在ととらえることで
自分の堕落を責任転嫁しているよね。
映像
北アフリカの街、この作品内では昼と夜ではまったく異なる様相を見せる。
昼間はカラッと明るい太陽に照らされていて、何の隠しごともできない。
でも、夜になると、夜闇のなかで窓からの月明りと照明に建物が部分的に照らされるのが幻想的で美しい。
建物もヨーロッパ風ではあるけど、どこかエキゾチックな北アフリカのもので明るい色使いに心華やぐ。
月明りで窓の格子が陰になって部屋に差し込み、
その陰がクロチルドの顔にかかるシーンには見惚れてしまう。
衣装
映像表現もさることながら、衣装も美しい。
主人公と最初に出逢ったときに着ているドレスは背中が大胆に開いていて、
動くたびに体の線に沿ってドレスの光沢が照り輝く。
下着もつけずに身ひとつで一枚まとっているような軽やかさなのに、存在感のあるドレス。
クロチルドの普段着である白ジャケットに白スカートは
カジュアルな装いなのに、クロチルドが着ると鮮やかに感じられる。良く似合っている。
衣装デザインはクリスチャン・ディオールらしく、
エンドロールにも大きくクレジットされていた。
エレガントだよね。
クロチルドが着ている黒ニットが可愛い。欲しいな。

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