海街をアレする。
現実から逃れるために映画を見る。
そんな時はコメディだったりアクションだったり、なーんにも考えなくてもいいジャンルがいいんだけど、気になっていた映画を見ることにした。
時間は深夜。とっても眠かったのに。
今回気になっていたのは有名どころの若手女優が出てるからってこともあるけど、脇に樹木希林や大竹しのぶ、キムラ緑子が出てたからかな。
それから、もちろん「歩いても歩いても」が良かったので是枝監督にも惹かれつつ。
ちなみに俳優では堤真一、風吹ジュン、リリー・フランキー、鈴木亮平、加瀬亮、アーティストのレキシも出てて地味に豪華。
カンヌ映画祭で上映された時、レッドカーペットでの長沢まさみが妙に色気本気モードで、「戦いに来てるな」と思ったものだ。
でもカンヌでの評判はあまり芳しくなかったというニュースは見ていたけど。
【ストーリー】
鎌倉に暮らす長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の香田家3姉妹のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届く。葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、そこで異母妹となる14歳の少女すずと対面。父が亡くなり身寄りのいなくなってしまったすずだが、葬儀の場でも毅然と立ち振る舞い、そんな彼女の姿を見た幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。その申し出を受けたすずは、香田家の四女として、鎌倉で新たな生活を始める。
好きなタイプの映画だった。
できればずーっと終わって欲しくない、見ていたいなーと思える雰囲気の。
その意味では十分に現実から遠ざけてくれた。
ずーーーーっと遠くに。感謝。
「死」「生きていくこととは」というテーマが印象に残ったけれど、
同時に「綺麗すぎる」「女優映画過ぎる」という瞬間も多かった。
鎌倉の風景は文句なしに美しい。コレは良しとしよう。
鎌倉に限らず日本って美しいと思える街並みや自然が多いからね。
「女優映画過ぎる」と思ったのは、姉妹が妙に仲が良くフォトジェニックに映る場面達。
4人で庭の梅の木を眺めるシーンでは4人が丁度窓枠に納まり、何とも言えない笑顔が映し出される。
部屋の障子をカラフルな紙で張り替えるシーンや浴衣に着替えて庭で花火をするシーンも。
すずに一緒に暮らそうって言い出した長女に賛同する二女と三女も。
ちょっと「理想の姉妹像」感が香ってくる。
一方、ヒロインたちの環境はとても複雑だ。
3姉妹の父は浮気して家を出て、さらにその浮気相手との間にすずが生まれるもその女性と死別。
その後再々婚した女性の元で死去。
3姉妹の母は離婚後子供たちを追いて北海道へ(別の男と再婚?)。
祖母と祖父も亡くなっている。
他にも死の香りを感じる場面が多い。
長女(綾瀬はるか)はしっかり者で誰にでも厳しい。
完璧そうに見えるが胸を張れる恋愛をしているわけではなく、看護の仕事ではターミナルケアに従事。
次女(長沢まさみ)は酒にも溺れるし男運も悪い。
姉ともよく喧嘩をするが、地味に銀行に勤めていて途中から課長と外回りをするポジションへ。
三女(夏帆)は個性的で悩みがなさそうなタイプ。
地元のスポーツ用品店で働き、少年サッカーチームのサポーターでもある。
二人の姉の調和的存在だが姉妹の中で父の記憶が一番ない。
そしてすず。
自分の母はこの3姉妹の家庭を壊した女性。
活発で明るいキャラだけど、後ろめたさと自分の存在意義の不確かさで揺れる。
こうみると、「女優映画」なんだけど「死」「生きていくこと」というテーマが両立している。
複雑な問題を抱える姉妹を美しく、綺麗に見せる。
大体、突然あった異母姉妹に「うちにおいで」って言われて「行きます」って共同生活送っちゃうんだからね。
姉妹はもちろんケンカもするし、母とも久々の再開でぶつかるけど、劇的な展開にはならない。
ご都合主義と言われても仕方がない。
自分を捨てた父や母を寛大に許容している雰囲気もある。
あぁでも。
何か、それでいいのかもなと思える映画だ。
現実がそうじゃないことは誰にだってわかってるのだ。
地元の食堂のおばちゃん(風吹ジュン)が弟と遺産相続で揉めるエピソードがそれを表している。
血縁関係だからこそ難しい部分。
この姉妹にだってもっといろいろな感情が渦巻いているはず。
でもそれを強調して見せることなく、日常が繰り返されていく様が描かれる。
よっぽど「ある犯罪者の動機は幼少期のトラウマが原因だったのだ」みたいな映画の方が安直かもしれない。
だって、何があったって社会、家族、自分と折り合いをつけながら生きていかなきゃならないんだから。
そうそう。
ありがたいことに「綺麗すぎる」場面達が並ぶこの映画が安っぽくならないのは、女優達の演技力のおかげだと思う。
あとそれを切り取った監督の手腕か。
綾瀬はるかってCMや紅白の司会以外では初めて見た。
おっとりしたイメージだけど、しっかり者の長女って雰囲気出てたと思う。
妹たちに「ご飯をかき込まない」「早くお風呂入っちゃいなさい」って嗜めるせりふ回しや、歩いている妹の背中に自然に手を回したりするシーンも。
そして後半の同僚の医者との海の場面あたりから、ガラリと雰囲気が変わって見えた。
あぁこういう表情もするんだ。女優だなってね。
こういうしっかり者のキャラクターだと、どこかで怒りや感情が爆発してしまうシーンがあるのだろうって思っていたけど、意外にも静かで魅力的なシーンが待ち受けていた。
長沢まさみは色気とはすっぱ(死語?)なイメージが自然で上手すぎる。
駅ですずに早く恋愛するように勧めるシーン、姉と言い合いをした仲直りの為に仕事の話をしに行くシーン、そして上司の転職理由を聞いて自分を振り返ってぎこちない笑顔を見せるシーンなど、緩急使い分けててびっくり。
色気があるってだけじゃなく常に目が行くキャラクターになっていたし、年齢と共にできた目じりや口元の皺が妙に美しく見えた。
夏帆は自由奔放さが際立つ。何かと目立つことやってるんだけど空気のような存在。
てかノーメーク風の感じが昔知ってた夏帆じゃないんだけど、その劣化?ぶりが逆にいい。
でも、働いている店の店長にふと目を向ける表情だったり、父が自分と同じ釣り好きだったと知って静かに喜ぶシーンとかいいなぁ。
見せ場は多くなかったけれど、絶対に必要なキャラクターだって思える。
そして、なんといってもちくわカレーの食べっぷりに驚愕。
「この次セリフ続くんだよね?」という俺の心配をよそにバクバクカレーを食ってて、何か惚れた。
そして広瀬すず。
正直名前以外ほとんど知らない。TVでドラマとか見ないし。
某不動産系のCMであざとい妹キャラをやってるってくらいかな。
しかしこの映画ではびっくりした。
14、5歳の天真爛漫さもあるけれど、同時に同級生に父のことを話す場面やふと見せる「居心地の悪さ」の表情が大人。
駅のシーンで同級生がちょっとズレた励まし方をしてくれるの話を聞いてくすっと笑う。
女優ってすごい。自分ならあんな表情出来ないだろうなって。
そしてこの映画の自分的最大のハイライト。
すずが同級生の自転車の後ろに乗って桜のトンネルをくぐるシーン。
桜の花びらを浴びながら空を仰ぎ微笑む姿。
見とれた。
何と純粋で大人の色気がある表情をするのだろう。
日常の不安や悩みから一瞬だけ解放されたその笑顔に見とれしまい怖いくらいだった。
これ、監督してやったりだろうねぇ。
人ってそれぞれ何かを抱えていて、時には勝手に抱えているつもりのことも多い。
人前ではわざと笑顔を作らなきゃいけないし、落ち込んだ時に誰に見せるわけでもなく一人で笑ってみることもある。
でも、ふとした時に一瞬だけ解き放たれてにじみ出る表情、笑顔があって、それは自分自身では決して見ることができない。
結局自分のことってわかってるつもりの自分が一番わかってないというか。
俺も何かに心を現れてこんな表情をする時があるのかなー。あったらいいなーって考えたら何故か少し泣けてきた。
変なの。
と、この場面だけでも観た価値があるなって思える映画だった。
少なくとも俺にはね。
そうそう。
是枝節がいくつかあってニヤリ。
・寝坊して慌てて家を出た直後に「財布忘れた!」と玄関に戻りかけて「あ、あった」と鞄をまさぐりながらまた出かけるシーン。
・やたらと「すぐにアレしなくていいから」「今度アレしてくるから」と「アレ」を言葉にするシーン。
・茹でた蕎麦を鍋からざるに上げる時に「熱いですよー」と独り言のように言うシーン。
・玄関先のクロガネモチの赤い実をもぎ取って帰るシーン。
こう、無くてもいいどーでもいい日常のシーンがいちいち愛おしい。
原作はマンガらしく、一部の原作ファンからエピソードが省かれ過ぎて深みがないだとか、配役も一部ミスキャストだ!と不評らしい。
まぁ、その気持ちわからないでもないけどね。
幸い俺はマンガを読んでいないので十分に楽しめた。
最後に。
「もうすぐ死んでいく自分なに綺麗なものを綺麗と思えて嬉しい」
というような言葉が2度出てくる。
最近は嫌だ嫌だと全力で落ち込むことが多い。
ごまかさずにそうすることがいいことだって自負しているから。
が、どこかに遊びに行っても、美味しいものを食べていても突然に現れるその感情。
このままじゃ綺麗な桜もそんな風に見てしまうのかな。
と思うと自分がいたたまれない。残念。
もう少しだけ切り替え上手になって、あえて「綺麗すぎる」感情も自分に見せていこうと思った昨日の夜でした。
予定は未定で最強。
京都でミュージカル観劇→そのまま愛媛へ。
新幹線→観劇→新幹線→特急と8時間も座りっぱなしだったそんな週末。
んで、翌日相方の車で家まで帰る途中。
特に決めていなかったけどしまなみ海道で大三島に降り立った。
初めて聞いたマハタという魚。
クエと同じ系統の魚らしい。
歯ごたえはヒラメみたいだけど美味しい白身。
なーんかまだまだ食べたことのない美味いものってゴロゴロあるんだろうねぇ。
次はヒラメのシソ巻きから揚げ食べようっと。
風は心地よい寒さだけど小春日和で多々良大橋が映えるいい天気。
腹ごしらえ後はいざ車を走らせパワースポットで有名だっていう大山祇神社へ。
お土産屋や食事処もあって想像よりも観光地っぽい感じ。
樹齢3,000年や2,600年を超える楠たちが鎮座。
木って何で死んじゃうんだろうね。
どうなったら死ぬんだろう。
3,000年を目の前にそんな疑問がグルグル。
俺こういうパワースポットでパワーを感じられないタイプなんだよね。
きっとあふれ出てるんだろううけど( ´艸`)
でも楠の幹の穴の暗闇の中に何かを見た気がしたとか(妄想)。
いやーでも敷地も広くて静かでのんびりできた。
おみくじは二人そろって凶。凶は実は良いんだって聞いたことあるから良しとする。
大三島って実は美術館が5つもある島。
気になっていたのもありせっかくだから行ってみることに。
まずは崖の上にある、独特な彫刻達が並ぶ小ぢんまりとした美術館へ。
とにかく絶景。
上手く言えないんだけどいい意味で手入れされていない感じが◎。
いや、掃除などは行き届いてるんだけど、開放的な雰囲気が良くて。
部屋の中→外階段で下る→また別の部屋→外階段で下る・・・。
外と内が一体化。
超絶美しい海に面して立っているのに海から目を逸らしている女性の彫刻が素敵です。
海を観たくないことだってあるよ。
最下階には海に面したテラスがあって、椅子があるのでのんびり。
日が当たってポカポカ。
無数の鳥が鳴いて飛んでる。
相方は涎を垂らして寝てる。
しかし本当によく寝る。中学2年生並み。
俺はそれを横目に海を見やる。
んで、「こんな別荘が欲しい。またはそんな別荘を持っている知人が欲しい。」と穏やかな顔で煩悩全開。
次に向かったのはお隣に立つ、建築家の伊藤豊雄ミュージアムへ。
ここに来てみたかったんだよねー。
独特の形状のスティールハットとかつての伊藤豊雄の自宅を再現したシルバーハットの2棟からなる美術館。
てっきり彼の建築作品模型が並んでいるのかと思いきや、大三島を日本でいちばん住みやすい島にしよう!という構想が展示されていた。
これが何とも言えない手作り感で◎。
島に移住して農業をしたりワインを作ったりしている人たちのインタビューや、島の歴史を学んだり民家を再生する計画を立てていたり。
なんていうのかなー。
スローライフが流行りで移住してきたんでしょ?古民家再生ってオシャレだもんね?的な上っ面感が少なくて純粋に「こうなったらいいよね」って思えるプロジェクト。
俺は性格的に農作物を育てられるほど優しさも厳しさも持ち合わせてないだろうな。。
なんて自虐的になったとかならなかったとか。
その後、かつての小学校を民宿にしたという憩いの家へ。
しかし冬の今はシーズンオフでやってなかった。。
で、車を適当に走らせていたら空き地に何かを発見。
車を停めて地元のおばあちゃんに聞いてみたらお祭りらしい。
素知らぬ顔でいざ空地へ。
竹や木で作られたタワー?に布で作られたオブジェたちがぶら下がっている。
近所の神社で儀式を終えて今運んできたばかりらしい。
予定表を見たらあと30分もしたら点火するらしくしばし待つ。
が、待つこと5分で点火開始(笑)えー時間守らんのやね(´0ノ`*)
点火は子供たちの役割なんだけど、「最近は子供も減ってなー」と話すおばあちゃん達。
周りを見渡すと確かに80%はお年寄りだった。
それでも10人ぐらいの子供たちにより無事点火。
火って落ち着く。
何かが始まって終わる感覚。
まるでバーニングマンのようだ。
あぁバーニングマンいつか行ってみたい。
きっと俺のような開放されていない人間では楽しむことができないかもしれないけれど。
はしゃぐ子供たちをよそにぼけーーーーっとただただ見つめる。
甘酒なんかも振る舞われたりして、すっかり参加。
甘酒。人生で3回目ぐらいかな?
こうして何年も引き継がれてきた文化、行事。
子供が減ってきてはいるもののちゃんとつながっている。
燃えたぎるバーニングマン(違うけど)をよそに、地元の人たちは甘酒や竹に注いだお神酒を飲んでる。
で、火が消えかかるころには食材を持ち寄ってバーベキューが始まりだした。
こう、行事を神妙に行うのではなく「酒飲めるぞー肉食うぞー」みたいな雰囲気がまたいい。
俺の地元にもこういう行事ってあったんだろうなぁ。
記憶にないけれど。
火が消えかかる寂しさと、こうした地域に根差した行事をつなげない自分に少しセンチメンタルになったとか。
子供ってやっぱり大事。
とまぁふらり島旅のつもりがしっかりと夕方。
その後帰路についたのでした。
予定を決めてなかった旅がこんなに楽しめるなんて、俺たち二人って最強。

