【河童】

 河童という言葉は、河の童子「わっぱ」が変化したものです。別名を「河太郎」と言います。河童は、芥川龍之介の小説で、知名度が上がりました。また、柳田國男の遠野物語の話にも出てきます。沙悟浄も、日本では河童の姿です。ただし、西遊記には、水の妖怪とあるだけで、正式には河童ではありません。慣用句では「河童の川流れ」や「陸へ上がった河童」といった言葉があります。河童は、水の妖怪です。もともとは、水神でしたが、落ちぶれて妖怪になったとされています。妖怪とは、おちぶれた神だとしたのは民俗学者の柳田國男です。河童のモデルは「猿」「カメ」「日本カワウソ」などではないかとされています。現存する河童のミイラは、色んな動物を合成したものです。北野天満宮にも、菅原道真に切り落とされたとされる河童の手のミイラがあります。河童の頭目とされるのが「九千坊」です。九千坊の先祖は、中央アジアから、熊本に移住してきたとされています。悪さをしたので、加藤清正によって退治されました、一説では、壇ノ浦の戦いで死んだ、平家の女官の霊魂が、河童になったとされています。ちなみに平家の武士たちは、平家蟹になりました。平家の大将「平清盛」は、巨瀬入道「にせにゅうどう」という河童になったとされています。


【生態】

 河童は、卵から生まれ、三年で大人になるとされています。大きさは、60~80センチと5、6歳の子供ぐらいのサイズです。河童は、緑色で「皿」「クチバシ」「水かき」「ウロコ」「甲羅」があるとされています。背中にある亀のような甲羅は、丸くとがっているのがオスで、平なのがメスです。体は、メスの方が小さいとされています。河童が、亀のような姿になったのは、江戸時代の北斎漫画の影響です。江戸には、あまり山がありませんでした。そのため、カエル、スッポンに似せたモデルになったとされています。河童には、手足に「水かき」があるので、泳ぎが得意です。時には、泳いでいる人の足をつかみ、溺死させることもありました。河童は、人間の尻子玉を抜いて、食べるとされています。尻子玉とは、それを抜かれると腑抜けになるとされる架空の臓器です。河童は、シダの葉で、頭をなでると、美女、美男に変身出来るとされています。その能力で、人をだますこともありました。


【好きなものと嫌いなもの】

 河童は、相撲好きです。時には、人間と相撲をとることもありました。河童は「スイカ」「トマト」「カボチャ」「きゅうり」など種の入ったものを好みます。寿司の河童巻きは、河童がきゅうりを好むので、そう名付けられました。河童が嫌いなものは「ひょうたん」「とうきび」「鉄」「刃物」「仏さんの飯」「鹿の肉」などです。「ひょうたん」は、沈まないから嫌いだとされています。動物で苦手なものは「猿」「イヌ」「ワシ」などです。河童が、怖がるものは「稲光」や「東風」だとされています。「東風」を嫌うのは、風で頭の皿が乾くと割れてしまうからです。そもそも、皿は、食べ物をのせるものなので、生命力の象徴だとされています。