【水天】
 水天は、水のような慈悲によって、煩悩を洗い清め、悟りという果実を育てる仏教の神様です。
サンスクリット語では「ヴァルナ」と言います。ヴァルナの名前の由来は「覆う」や「全てを包括する」です。別名をアーディトヤ「無垢の子」と言います。水天は、仏教の12天の一人で、西方の守護者です。日本では、水天宮「すいてんぐう」という神社に祀られています。仏像のヴァルナは「三眼」「赤髪」「青い肌」です。服装は「天衣」というものを着ています。ヴァルナの持ち物は「剣」と「竜羂」です。通常、右手に「剣」を、左手に「竜羂」を持っています。竜羂とは「ナーガの罠縄」「ヴァルナの罠」「水天の罠」などと呼ばれる投げ縄の一種です。水天は、竜羂で罪人をしばり、何者も逃しませんでした。


【法の番人】
 ヴァルナは、天則「リタ」の番人だとされてます。天則「てんそく」とは、全宇宙の秩序を保つための「法則」や「理法」のことです。神々や人間も、それに従うとされています。天則は、規則であると同時に宇宙を現実化するものでした。ヴァルナは、もともと偉大な幻力「マーヤー」によって、天地を創造し、これを維持する不生の始原神だったとされています。ただし、この始原神としての地位は、ブラフマーによって奪われました。
ちなみに、天則に背くことは、犯罪だとされています。そのため、違反した者は、罪人として捕らえられました。ヴァルナは、世界中の出来事をスパイを使って監視しており、人間の行為を全て把握しているとされています、罪人を、罰として水腫病にしたので、刑罰の主とも呼ばれました。



【水の神様】
 水天「ヴァルナ」は、水を司る神です。水の神として、洪水の難を避ける、水難除けのご利益があるとされています。人々は、旱魃になった時も、水天に雨乞いをしました。水は、龍や蛇と関連付けられています。そのため、ヴァルナは、龍「ナーガ」の王とされました。龍王として、頭には「五龍冠」という冠をを被っています。
ヴァルナは、海を監視する、船人たちの守護神でもありました。海の神様なので「ホラ貝」「螺具」などを持ち物としています。その宮殿は、海の底にある「プシュパギリ」です。ヴァルナは「摩羯魚」を乗り物としています。摩羯魚「マカラ」とは、頭が鹿で、脚がアンテロープという亀の霊獣のことです。

ヴァルナは、海の神として、万物を養う神でもあります。その海と関係するのが月です。月は、夜に出ることから、ヴァルナは夜の神ともされました。夜空の星々は、ヴァルナの千の目だとされています。


【阿修羅】


 ヴァルナと対になる存在が、双子の兄弟であるミトラです。ミトラは、もともとヴァルナと並ぶ最高神でした。しかし、ヴェーダ時代にその地位が下がりました。ミトラは、平等な契約を司る「契約の神」だったとされています。また、ヴァルナが月を司るのに対して、ミトラは、太陽を司っていました。一説では、ヴァルナは、アアフラ=マズダと同一視されています。アフラ=マズダとは、阿修羅「アスラ」のことです。そのため、ヴァルナは、アスラの王者とされました。そのアスラと戦うのが神々「ディーヴァ」です。神々の首領であるインドラは、ヴァルナと同格だとされています。