【焰摩天】
焰摩天は、仏教の「8」「10」「12」天の一人に数えられています。天とは、神々のことです。焰摩天は、ヒンドゥー教のヤマ「夜摩」がモデルだとされています。ヤマは、サンスクリット語で「双子」や「二重者」という意味です。その名の通り、ヤマは双子でした。その双子の妹が、ヤムチ河の女神ヤミー「夜摩女」です。父親は、太陽神スーリヤだとされています。ヤマは、妹のヤミーと結婚し、最初の人類を産みました。そのため、近親相姦だったとされています。ヤマは、人類の先祖なので「原人」や「人祖」などとも呼ばれました。その容姿は「温和な表情」「4つの赤い目」「口髭」「腕の2本」「緑か青の肌」が特徴です。ヤマの乗り物は、巨大な白い水牛だとされています。
【死者の王】
ヤマは、世界で最初に死んだ人間だとされています。最初に死んで、死者が進むべき道を発見し、死者の世界を作って、そこの支配者となりました。そのヤマが、死者の魂を導くために従えているのが「サーラメーヤ」という二匹の番犬です。残されたヤミーは、ヤマの死を忘れるために夜を作りました。それが、昼と夜が出来た理由だとされています。
ヤマは、祖霊の王です。インドでは、死者は祖霊と一体になるとされています。特に長寿を全うした後、祖霊と一体化すことが理想的だとされました。祖霊となった後は、新たな形態を得るとされています。死者の国があるとされていたのが南方です。そのため、ヤマは、南の守護者とされました。もともとヤマの住居は、清らかな泉が湧く、光明に満ちた最高天だったとされています。その後、地の底の地獄の主とされるようになりました。
【閻魔大王】
ヤマは、中国の道教に取り入れられて「閻魔大王」とされました。閻魔大王は「閻魔羅闍」とも言います。閻魔とは、梵語で「手綱」「抑制」「禁止」という意味です。中国では、10王信仰と結びつき、泰山地獄の裁判官の一人とされました。10王「地獄の裁判官」の中でも、中心人物とされるのが「泰山府君」です。閻魔大王は、その泰山府君と同一視されました。地獄の裁判官としての閻魔大王は、罪人を捕縛し、生前の悪行を罰したとされています。その裁きは、好き嫌いをせず公平でした。
閻魔大王は、杖の先に人の頭がついた「人頭杖」をシンボルとしています。人頭杖とは、罪人を処罰するためのものです。閻魔大王は、赤か黄色の道服を着て、王の文字の冠を被っています。持ち物は、死者を縛るための「投げ縄」と「運命の書」です。六道輪廻図では、閻魔大王が、輪廻の輪を持っています。日本の仏教では、地蔵菩薩の化身だとされ、六道を巡る衆生を助ける仏とされました。

