いつからだろう、兄が家を出てからだろうか、母の荷物がとてつもなく増えていった。

いずれ私も家を出るのだが、その後の荷物の量はさらにエスカレート。

足の踏み場もないほど、いや、正しくは、荷物の上を歩く感じ。

まっすぐ前を向いても歩けない。

カニ歩きのように横を向き、隙間をぬっていく感じ。 

今思えば、母は寂しかったのだろう。

買い物でストレス発散をし、自分を保っていたのだと思う。

その後、住んでいたところの建て替えで違うマンションへ引っ越すのだが、それがまた輪をかけてひどい。

玄関からの通路、幅30cmもない。

進んでも進んでも荷物、荷物、荷物。

天井までも届き、ベランダまでもが大量の荷物。

ドアが全開になることなんてなく、30cmの隙間から出入りする。

全てにおいて隙間しかない。

足を伸ばして休める場所なんて、ない。

片付けの話をしようものなら、逆ギレ。

即、喧嘩になる。

「やるわよ。」

「今落ち着いてできないのよ。」

その言い訳、20年以上は聞いている。

そして最後には

「そうやってあなた達はお母さんを責める。」

都合が悪くなれば悲劇のヒロイン。

おそらく何か、障害とか病気が隠れているのだろう。

でも、病院嫌いの母、頑固な母に、もう今更そんな話は通じず。

私達家族は、諦めた。

諦めるしかないのだ。