心の故郷 | ナックリンの部屋

ナックリンの部屋

日々のちょっとした出来事や思ったことなどを、気ままに綴るブログです。

昨日は日帰りでしたが、

私の大好きな小説の舞台となった場所に一人で行ってきました。

独身時代は毎日持ち歩いていたほど好きな本です。

少し前のブログにも書いたように、

この場所は私の若い頃からの心象風景がそのまま残っている様な、

まるで自分の心の故郷の様な、そんな場所です。


駅はありませんし、交通の便も悪く、

観光客もオンシーズン以外は来ないような、

とても辺鄙なところではありますが、

バスが現地に入ったあたりから無意識に鼻歌を歌い出していたほど、

私の心は弾んでいました音譜


前日の暴風雨のなごりで波が高く、

海に近づくとミスト状の海水が吹きかかってくるほど荒れています。

漁船も木の葉のように海面に漂っていました。

写真は是非クリックして大きくしてご覧下さい。


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しばらく歩くと、湾の向こう側に富士山が姿を現します!

その時の感動と言ったら・・・。

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やじるし小説にも登場する松林と砂浜が見えてきます。


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やじるし昨日はお天気は良かったものの、とても波が荒く、

時に富士山の姿を覆い隠すほどの波が砕け散ります。

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最近この本を読み返して初めて気づいたこともあります。

いくつかの事が、象徴としても使われている事も分かりました。


また小説の中にはクラシックの曲が出て来るのですが、

この小説自体の構成もまるで交響曲のようです。

うまく言えないのですが、まるで音楽のような小説なんです。

ここはそのいわば第2楽章の舞台となった所で、

私が一番心を惹かれた箇所でもあります。

第4楽章はあまりにも切なすぎて、悲し過ぎて、読むと胸が痛くなります。
あまり読みたくないほどです。


主人公が叶える事が出来なかった、相手との峠越え。

「彼は一体どんな想いでこの景色を夢見たのだろうか」

そんな事を考えながら、私は峠越えで現地に入りました。

また、アクシデントでおじゃんになってしまった約束も、

もしそれが実現していたら、

彼らの間で何かが変わっていたのかな?とか・・・。

それとも、結局はそれでも何も変わらなかったのでしょうか。

それは誰にも分かりません。


人生には、タイミングを逃すとどうにも出来なくなってしまうものもあります。

どちらに転ぶかすら分からない、とてもデリケートな問題です。


松林も建物もおそらくはその頃と変わらずありました。

主人公たちがその中を歩き、語り合った場所です。


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松の木の中にはかなりの巨木もありました。

この小説は作者の半自伝的な作品ですから、

この松の巨木たちは実際に彼らの姿を見、会話を聞き、

その心の囁きまでをも聞いたことでしょう。

「この松の木は彼らを知っているんだ・・・」

そう思うととても不思議な感じがしました。

確かに数十年前、彼らはここに、この風景の中にいたのです。


少し前までは10年20年なんて、想像すら出来ないスパンの時間でした。

でも今は、30年、40年もあっという間に過ぎてしまいましたし、

周りにいた人達も沢山死んでいき、

今ではその人たちが存在した事すら夢の様に思える事があります。

50年、100年・・・いえ、200年でもつい最近の事のように感じられます。

会った事もない昔の人物達の方にむしろ親近感を覚えるくらいです。

生きている人達でも、血縁でも身近でも遠く感じられる人がいる一方で、

ある意味むしろ遠い存在のはずなのに、

何故か昔から無性に近しく感じられる人もいます。


自分が死ぬのもそう遠い話ではないでしょう。

自分がこの世に生まれ、あっという間に去っていく。

そしてその中で忘れられない存在と出逢う不思議さには、

畏敬の念だけではなく、一種の怖さすら覚えるほどです。


時々、穏やかな日常の中ではとんでもないと思える事が、

死を意識した時、全く違う響きで胸に迫ってくる事がないでしょうか。

それが私にはある理由で多分普通の人より頻繁で、

時に生きにくさを感じるほどです。


やじるし最後に彼が船に乗って帰っていく相手を見送った岬外れの岩場。

彼がここで見送ったものは本当は何だったのだろうと、ふと思いました。


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この小説は愛を描いているのに、何故かとっても孤独な小説です。

私には主人公のその孤独の理由が少し分かる様な気がします。

だからこそ、若い頃からこれほど惹かれてきたのかもしれません。


今回は数時間の滞在でしたが、

夕日と、月と、朝の風景も見たいので、また来年来たいなと思います。

さすがに泊まらないと無理でしょうね。


やじるし持参した愛機の一眼レフと小説の文庫本を富士山と記念撮影。

帰りのバスの時間の許す限り、ここで色々な事を考えていました。


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何かに答えを出そうとしていた訳ではありません。

何かの想いを断ち切ろうとした訳でもありません。

むしろ、昔から変わることのない、

自分の気持ちを再確認していたと言った方がいいでしょう。

私は自分の心の声に従うと思います。


人は「日常のフィルター」を通して人生を捉える人間と、

「死のフィルター」を通して捉える人間の2種類いる様に思います。

私は確実に後者に属する人間です。


やじるし帰京する際、途中で立ち寄ったS駅でお蕎麦を食べましたニコニコ


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10数年前もここの駅蕎麦を食べた事があるのですが、

とても美味しかったので絶対食べようと決めていました。

今回もとても美味しかったですノリノリ

注文すると目の前で生蕎麦を茹で、冷水でしめてくれます。

コシがあってとっても美味しいんですよGOOD。

下手なお蕎麦屋さんのお蕎麦よりずっと美味しい!

蕎麦湯もちゃんと出してくれます。


朝5時起きで出かけ、帰って来たのも夜9時過ぎていました。

少し疲れましたが、とても有意義な旅だったと思います。