スカイステージで7月に視聴した演目 月組川霧の橋

 

当時月組新トップコンビのプレお披露目博多座公演。月城かなとさんは本当に青天が良く似合う。海乃美月ちゃんも髷がよくお似合いでした。長く封印されてた(?)この作品をプレお披露目に選んだのは正解だったと思います。

 

剣幸さんとこだま愛さんのコンビの退団公演の川霧の橋と併演のショー、ル・ポアゾンをNHKのBSで30年ぐらい前に視聴したことがありました。ル・ポアゾンはよく再演されています、(直近では雪組の彩風さんと朝月さんのコンビで再演されていましたね)「川霧」では涼風真世さんの役が鳳月杏さん、天海祐希さんの役が暁千星さんでした。懐かしいです。

 

ネタばれありです。

幸次郎(月城さん)は大工の若棟梁に抜擢され、それを快く思わない弟弟子(?)の清吉(暁さん)が月城さんの思い人としったうえでお光(海乃さん)にプロポーズ。杉田屋を辞め上方で稼いでくるのでそれまで帰りを待ってほしいと。お光は初めてのロマンスだったのか舞い上がってOKしてしまう。清吉は幸次郎の気持ちを察した棟梁夫妻がお光のたった一人の肉親、刃物研ぎ職人の祖父源六(光月るうさん)の許を訪れお光を幸次郎の嫁にとお願いに行くが、おかみの無神経さに怒り源六は断ってしまう。

 

タイミングやすれ違いで人生というのはこうも変わってしまうのかという紆余曲折がこれでもかと描かれています。極めつけが江戸の大火。当時の消防技術ではあっという間に過密都市の江戸は焦土と化してしまう。縁談断られても思い続けるお光と祖父を一生懸命助けようとするが、源六は死亡。幸次郎は川に流され、またもや離れ離れ。二人とも助かったがお光は記憶喪失。幸次郎は助けられ若棟梁として江戸の復興のため奔走しながらお光を探す。おそらく大店の令嬢だったお組(天紫 珠李さん)の没落ぶりは悲しい。そのお組を身分違いと思っていたのか、密かに思い続けていた幸次郎の弟弟子半次(鳳月杏さん)。燃え盛る炎の中店に飛び込んでいく後ろ姿のお組を見てしまったが、江戸の大火の後もっと早く夜鷹に身を落とす前にお組を見つけることができていたらまた違った二人になっていたのではと思います。これもタイミング。

 

すっかり身を持ち崩した清吉と所帯を持ったお光、お光に清吉を待つと言われた幸次郎も心優しいおよし(結愛かれんさん)と所帯を持った。その後清吉は罪を犯し島送りになり、脱獄途中で死んでしまったという報告。またおよしは体が弱く若くして亡くなり、もう100日。

 

幸次郎は今でもお光が好きだ、いつまでも待つと告げるが、お光は幸次郎を思いながらもYesとはまだ言えない。肺を病んだお組を看病するお光。医者に診せてやってと半次はお金をお光に渡す。いよいよ病が進行したお組は元のお嬢様の口調に戻っていく。

 

清吉は生きていた!替え玉に死んでもらって!闇落ちすぎな…。いつの時代も偽造屋がいるのね。江戸を出るため偽の通行手形を手に入れた清吉は怪しまれないように夫婦連れにするため、半次にお光を連れてくるように依頼する。断れば殺すつもりで。

 

お組を看取ったお光に半次は幸次郎のところへ行き幸せになるようにと諭し、送り出す。半次は清吉と決着をつけると脇差をのぞかせその長い足で駆け出していく。(おそらく刺し違える覚悟?)

 

そして長い長い遠回りの末、二人は思いを遂げることになる。

 

月城さんそっけないというかぶっきらぼうな愛情表現しかできない堅物の演技最高でした。海乃さんもとてもいい相手役だと思います。お組役の天紫さん、ご令嬢から最期死ぬことでやっと楽になれるなんて夜鷹まで堕ちていったそのギャップが憐れすぎました。鳳月さんも抑えながらも一途なお組への思いよく表現されていました。暁さんのクズっぷりもお見事(←褒めてます)でした。