雪華抄、金色の砂漠 2017年花組公演娘役トップ花乃まりあさんの退団公演。
7年ぶりにスカイステージで視聴。
いずれも生の舞台を拝見した。あれから7年、時が経つのははやいものだ。

雪華抄の感想
原田諒先生の作品。他の作品もいくつか拝見したが、こういった日本物のショーの演出のほうが向いてるのではと思った。松本悠里さんの日本人形のような立ち姿と踊り、音くり寿さんのカゲ歌唱が素晴らしかった。明日海りおさんの若衆姿と花乃まりあさんのお姫様姿よく似合っていた。鷲と鷺での花男たちのぶつかり合い、明日海さんと柚香さんの見得の切り方も見事だった。七夕まつりの夕涼み場面、江戸の若いカップルたち、芹香斗亜さんと仙名彩世さんの彦星乙姫の場面、市井と天上のカップルの対比が見事。波の華では、瀬戸かずやさんに始まり花組全員で民謡を歌い継ぐ場面、演出が粋で飽きがこなかった。がらりと変わってトップコンビの安珍清姫、恋から情念への変化(へんげのほう)花乃さんの表情お見事。(舞台では細かい表情がわからなかった)7年前舞台を見る前、日本舞踊、民謡とくると退屈かなと決めてかかっていたけれどそのテンポの良さと舞台の彩、衣装の美しさ、すべてが見事にマッチして、あっという間に楽しくショーが終わったことを思い出した。

金色の砂漠の感想
当時新進気鋭の上田久美子先生の作品。トップ男役が奴隷で娘役が王女という設定。子どものころから寝室も同じって、架空の国ならでは。第一、第二、第三王女とも似たもの同士の奴隷が付いているところ適材適所(あ、ちょっとちがうか)。第一第二王女のところは奴隷に恋しているようだが、第三王女だけはちょっと違った関係性かな。とにかく激しい気性の第一王女とその奴隷がタルハーミネとギィ。子どものころから誇り高く、誇りのためなら相手が傷つくことなど平気なように見えるが、実は心の中にはギィに対してモヤモヤとしたものを抱えているタルハーミネ、出自がわからないながらただの奴隷にしては何かが違うギィ。ギィとタルハーミネ、本人が子役をしているところも違和感なく新鮮。明日海さんのほうが幼く見えるのが、後々ポーの一族で少年役をすることに繋がったのかな。ほかの王女、奴隷の少年少女役はそれぞれ別の若手が演じていたが、まだ2年目くらいの舞空瞳さん(現星組娘役トップ、当時花組)が第二王女の少女時代役を演じていたのを今回初めて発見した。第二王女の桜咲さんとその奴隷の芹香さんは、第一の二人とは対照的にお互いを思いやる優しい性格。タルハーミネへの求婚者隣国の王子役は柚香さん。計算高い王子役を好演。第二王女の求婚者役はまさかの天真みちるさん。求婚者までそれぞれの王女の性格に依った設定?タルハーミネの父親役の鳳月杏さん、元武人の王様役を骨太に演じられていた。第三王女シャラデハの音くり寿さん、瀬戸さん扮する奴隷プリーをお茶が熱かっただけで打擲させるわがまま娘なのになぜか憎めない感あり。プリーがわざと不潔に親指をつっこんでいたから熱いはずはないと主張するところも笑いをさそった。この重たい物語のなかでこの二人のやりとりは面白かった。ギィの運命を握っていた王妃役の仙名彩世さん、抑えた演技ながら悲しみがよく伝わった。ただ彼女の最期はもっと別の形で、ギィとの絡みのなかでできたらよかたのにと思った。すべてを見守る英真なおきさんの演技もこの物語を重厚にした。フィナーレでギィとタルハーミネのデュエットダンスをもって全てを昇華させたことは斬新な演出だと思った。王妃様(仙名さん)がロケットガールというのも驚かされた。