「中高で6年間も英語を勉強したのに
全く英語が使えない」
「学校で習う英語は実用性がない」
よく耳にする議論ですね。
そういった意見に後押しされて
最近の、特に中学生の英語は
会話重視になっています。
ここ数年の実情はともかく、
果たして多くの日本人が
英語ができないのは、
学校教育のせいなのでしょうか?
幾つかの観点がありますが、
まずは勉強時間です。
「6年間」とは言うものの、
実質何時間勉強しているのでしょうか?
2008年に金谷憲先生が著書の中で
(当時は東京学芸大学教授)
公立の中高6年間ではざっくり言って
「1000時間」
英語を勉強する(当時)とのことです。
ただこれは1コマ50分の「1時間」です。
また、実際には行事などで
コマ数は削られることも多いです。
さらに、1年あたりに換算するために
6で割ると、
1000×50÷60÷6=138.9時間です。
これを分かりやすく、
正味何日かというと、
138.9÷24=5.79日
になります。
つまり、
「英語を勉強している中高生」でさえ、
一年あたり5.79日分しか
学校で英語の授業を受けていない
ことになります。
家庭学習や塾での勉強時間があれば
この数字は上がりますが、
365分の5.79という数字。
みなさんはどう思いますか?
かと言って、
英語の授業時間だけをむやみに
増やすわけにもいきません。
どの科目もそうですが、
学校の授業だけで
全員のレベルを高く引き上げることは
実際問題、難しいのではないでしょうか?
また、学校の授業で習うことは
実用的な英語ではなく、
その土台となる基礎部分です。
よく
Is this a pen or a pencil?
という中1レベルの選択疑問文が
役に立たないという批判もありますが、
言葉を少し置き換えれば、
Is this (train) for Tokyo or for Shinjuku?
(この列車は東京行ですか?
それとも新宿行ですか?)
という、外国人観光客から
聞かれる可能性の高い文に変化します。
学校教育の枠の中では
英語の基礎をやるものの、
英語の運用のための練習時間が足りない、
というのが実情ではないでしょうか?
「学校の英語は役に立たない」
という批判が多いので、
思うところを書いてみました。
「読み書き」中心ってどうなの?
という点については
日を改めて書きたいと思います。