6/21(土)、109CINEMAS川崎で映画2本を観ました。

16:05~は、この日が公開初日の「超高速!参勤交代」。


佐々木蔵之介演じる、お人好しでどこか頼りなげに見えトラウマも抱えながらも芯の強さと思い遣りを湛えた藩主が、取り潰しを画策する幕閣の「5日で江戸へ再び出府せよ」との無理難題に、家臣の協力を得て敢然と立ち向かい、途中様々な妨害に遭いながらも江戸へ…。
爆笑の連続ながらも、底流にある権力の横暴への「一寸の虫にも五分の魂」的な憤りと抵抗、そしてそれを体現する藩主と西村雅彦、寺脇康文、六角精児、上地雄輔、柄本時生といった面々が演じる家臣団、深田恭子(!)扮する宿場の感情のささくれ立った飯盛女達の姿に、惹かれるものがありました。
そして八代将軍徳川吉宗役の四世市川猿之助や老中首座役の石橋蓮司を相手にして尚高々とした「悪の存在感」を十二分に醸し出していた老中役の陣内孝則がまた、今年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」での宇喜多直家同様、魅力的ですらありました。

それに先立って観たのは「春を背負って」12:50~。


「名カメラマン」木村大作が、新田次郎の小説を基にした「劔岳・点の記」に続きメガホンを執った監督第2作で、音楽は前作に引き続き池辺晋一郎。
私は「劔岳~」と違い今回の「春を~」は原作を読んだことがないので、総合的な比較は出来ませんが、少なくとも木村大作「監督」の「映画」としては、今回の方が遥かに素晴らしい出来映えだったと思います(小説「劔岳~」は大好きなのだけれど)。
立山を中心に、槍ヶ岳や笠ヶ岳に遠く富士山迄広がる大パノラマ…。前作「劔岳~」でも描かれていたその大自然の美しさと表裏一体の峻厳さに加え、人の心を包み込む懐の深さや、その下で結び付きを深めていく登場人物達の有り様もがより深く表現されていて、感動的でした。
主演の松山ケンイチをはじめ小林薫、檀ふみ、吉田栄作、井川比佐志、石橋蓮司といったキャストの醸し出す厳しさと温かさ、そして弾けんばかりに純真な蒼井優の笑顔が何とも印象的でした
「劔岳~」では「監督」の注文によってだったのか既存のバロック音楽しか用いなかったのと異なり、今回の池辺サンはより自由な立ち位置で、物語に寄り添った素敵な音楽を付けていました。
…しかし、画面に池辺サンが登場する箇所は一つだにないとは云え、檀サン&池辺サンと云うと、どうしてもかつての「N響アワー」での迷(?)コンビぶりが脳裏に浮かんでしまいます。