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寺地はるな 著
「月のぶどう」より
「じゃない方」の憂鬱
社長であった母が急死し
家業のワイナリーに
双子の姉と関わるようになった男性
優秀な母に憧れ
早くから家業を手伝ってきた姉とは
経験も違い落ち込む毎日
姉は小さなころから
「出来のよい子」といわれ
自分はみんなに「じゃない方」
だ思われていると感じている
特に母が自分に期待していない
様子が辛かった
「出来のよい方」の怯え
ワイン作りの工程を一通り経験して
弟がたくましくなってきた
本来なら喜ぶべきなのに
心がざわついてしまう
自分に意見をする弟に対して
○○(弟の名前)の
くせに!
と思ってしまう
母は頑張っている私を
認めてくれる と思っていた
でも遺品の日記には
弟の名前ばかり
文句や愚痴が多いけれど
私より何回も書かれている
叔母は特に可愛がっている
と思っていたけれど
その理由を
打ち明けてくれた
わたしもだめな子だったからよ
だめな子仲間
何でもできる姉が嫌いだった
家業を手伝って
たくましくなってきたから
距離ができたような気がする
だめな子のままでいてほしかった
思い込みだと気付く時
先に乗り越えたのは弟
何もできないと思っていた自分に
ただひたすら取り組むことで
自信をつけ
逆に姉の弱いところも見えてきた
姉は叔母に
「じゃない方」の気持ちなんて
わからないでしょう?
と言われて
自分とは真逆の
華やかでキラキラした毎日を
送っている友だちに対する
モヤモヤが頭に浮かぶ
回避ではなく向き合う
一時期は会話もせず
お互い避け合う二人
でも
家族 友人 周囲の人に助けられ
お互いしっかりと向き合って
弱いところを支え合い
最後には
横に並んで
同じ方向をみるようになります
「じゃない方」で育ったわたしは
共感できることが
たくさんありました
また母も姉に比べて
「じゃない方」で
扱われてきたようです
でもこの作品の叔母と違うのは
わたしを
仲間ではなく
出来の良い子
に仕上げようとし
「じゃない方」の兆しが見えると
強烈に批判することでした
昔から姉に意見を言えない母は
兄と私が喧嘩することも
強く止めました
喧嘩して
本音を言い合って育つ
そんな自然な関係が
築けなかったのは残念ですが
今では必要な時は連絡して
さっぱりとした関係でいます
母と伯母の関係が
強くすり込まれた私も
二人の子どもに対して
衝突をしないことを良し
として育ててしまったように
思えます
まだ若いから
何かをきっかけに
向き合うチャンスは
訪れるでしょう
(この作品のように
親の急死では困るけれど)
それまで私は
それぞれと個々に
向き合っていようと思います
「月のぶどう」
私は一部分を
ピックアップしてしまいましたが
二人それぞれに想う人ができたり
心温まるお話です
ワイン作りの工程も
詳しく書かれているので
ワイン好きの方にもおすすめです