青の奇跡-エピソード10- | 初代スマブラ名人の居間

初代スマブラ名人の居間

初代スマブラ名人の及川です。

ここではスマブラだけでなくゲームの楽しさを皆さんと共有していけるようにを想いを書いていこうと思います。ゲームに興味がある方に少しでも楽しんでいただく為に始めました。

鎧を纏ったかように足取りが鈍っていた。

「おい、
こんな所で何やってんだ!」

「‥ごめんなさい」

「謝るより先にやる事があるだろ。
お前ん家どこだ!?
送っていく。」

「‥無いです。」

「こんな時に冗談言ってる場合か、
ホラッ行くぞ!
‥ッ」

そう言って彼女の手を掴もうとすると信じられない現象が起きた。

俺の右手は彼女の身体をすり抜け、
掴む事は愚か触れる事すら出来なかったのである。

「‥どういう事だ‥?」

「‥すいません、騙すつもりなかったんです」

その後に続く言葉はできれば
受け入れたくないようなものばかりな気がして嫌だった。

「ここ数日間の異常気象。
アレ、わたしのせいなんです。」

何だって?

「神様の逆鱗に触れてしまったから、理に反したから
あのような天罰が下ったのです。

「何を言っているんだよ‥」

「覚えていらっしゃいますか?『みー』の事。
信じがたいお話でしょうが
わたしは生前あなたに可愛がっていただいたインコです…。
天上界であなたの姿を幾日も幾日も見ていました。
巧さんは公園に来て、わたしの事を思い出してくださいましたよね。
私は‥ただお礼が言いたかったのです。
それと元気で暮らしていると伝えたかった。
生前の姿では言葉を発するも伝えられませんでしたので‥。」
「‥そうか。実は、何となく
そうなんじゃないか、とも思っていたんだ。
あの時は寝ぼけてて気づかなかったけど。
お前、教えてないはずの俺の携帯番号知ってたり、
発言が過去の出来事を指していたり妙だったもんな。

初めて会った時、
とてもじゃないけど他人とは思えなかったしな‥。」

「あらら、お気付きだったなんて」

気づくに決まっている。

―何年も一緒に暮らしてきたんだ。

ザァァァッァァッ

雨の激しさが増し、一層に強くなってくる。

「あはは‥巧さん。
お家に帰らないと本格的に風邪引いちゃいますよ?

どう聞いても渇いた笑いにしか聞こえない。

「お前こそ風邪引くぞ?
‥数年ぶりに我が家帰ってくるか?」

「お母さん驚きますよー。
それとわたしはそろそろ帰らなければ‥。
この姿で人と接触する事すら本来は罪なのです。」

「‥そっか」

分かってたけど、
言ってみただけだ。

(続く)