「‥アハハ!面白いですね。巧さんは。」
「笑うなー!
俺は決めた事は納得のいくまでやり通すヤツなんだ!」
「‥そうでしたね」
こんなやり取りをしてたら時計の針は12時を回ってたりした。
来月の電話料金は多少覚悟が要りそうだ。
次の日、嘘のように雨が止んだ。
朝一番のテレビでは「気象衛星の故障だった。」とか言ってる。
昨日の教授も映ってるけど何やら気まずそうだ。
な~にが「天変地異の前触れ」「世界滅亡」だ!?
ホレッ、見た事か。
「な?俺の言った通りだったろ。
そう簡単に滅びるわけないっての。」
鼻歌交じりで、アイツに報告の電話を掛ける。
トゥルル、ガチャ。
早い応対。
ワンコールで電話が繋がった。
「おぅ、おはよー!やっと晴れたなー!やっぱりそう簡単に‥」
「ザァアアアァァァァァ・・・」
受話器の向こうより彼女の声は聞こえてこない。
その代わりに激しく降り注ぐ雨音にも似たノイズが聞こえる。
「おい!どうした!?」
「‥公園。」
ガチャ。
通話が遮断された。
『公園』
辛うじてその単語が聞き取れた。
サンフラワー公園にいるのか?
兎に角行ってみるしかない。
今すぐ、行かなければ。
だけど‥何故か胸騒ぎが止まない。
何だろうか、この焦燥感は?
ザァァァッァァァァ!!!
不安を掻き立たせる要因。
それは、晴れた筈なのに
いつの間にか窓の外に降りしきっている雨だった。
■ ■ ■
身体が鉛のように重い。
傘など差さずに家を飛び出してきたから
衣服に雨が激しく染み込んでいる。
走る速度も緩める事なく
公園へと向って走行しているから息苦しくなってきた。
『公園』
もしも、サンフラワー公園じゃなかったら?
その事ばかりが幾度と無く脳裏を過ぎった。
それでも足先はサンフラワー公園へと向いていた。
サンフラワー公園に着いた時、
園内に人影は確認できなかった。
そもそもこんな大雨の日に外出する酔狂なヤツなど
普通に考えたらいるわけない。
だけど彼女のあの言葉を便りに俺は自然と来てしまった。
やっぱりここじゃないのか?
だが、その時ドシャ降りの中、
ブランコに佇む人影を一つ確認することができた。
間違いない、あれは、みーだ!
すぐさまブランコへと向う。
(続く)