三体Ⅱは科学者、羅輯(ルオ・ジー)が、一部の主人公の主人公 葉文潔(イエ・ウェンジェ)から宇宙社会学を研究するように言われるところから始まる。それは3つの定理、1.生存は文明第一の要求である、2.文明はたえず成長し拡張する、3.宇宙における総量は常に一定である。そしてもう一つの概念、「黒暗森林」理論をもとに物語が始まる。

 

「黒暗森林」理論とは、宇宙の文明とは、遠い距離に隔てられているために、お互いに理解することは不可能なため、信頼することもほぼ不可能である。ここから、もし宇宙の中に他の文明を見つけたら相手を消滅させる。つまり、暗い森の中で生きている狩人のように、位置を晒される瞬間に他の狩人に銃撃される。フェルミのパラドックスの説明に用いられる、私たち文明が地球外生命を見つけられない理由は、文明たちが攻撃の目標にならないように自分の存在を隠しているからだという。

 

こうしたことが分かった上で、広大な物語が展開する。

三体星人は、地球に対し「智子(ソフォン)」という改造した陽子を送り込んでくる。この「智子」は地球人を監視し、高エネルギー物理学の発展を阻害する。ただ、この「智子」は人間の思考にまでは及ばない。

この危機に対し、地球側は、面壁計画(ウオールフェイサープロジェクト)を実行、「面壁者」と呼ばれる4人の「面壁者」を選び、彼らに終末戦争の対策を実行してもらう。

 

これに対し、地球の中には三体星人を「主」としてあがめ「破壁人」を選び、「面壁者」の思考を解明、三体星人に報告する団体が現れる。

主人公の羅輯は、「面壁者」に選ばれるが、「面壁者」は基本的に何をしてもいいという、その地位を利用し理想の女性と、理想の場所で暮らす。

この物語と、木星に宇宙艦隊を編成し三体星人と戦うための準備を続けている人たち。

これが、2世紀にわたり、さらには太陽系全体に関わる壮大な物語に発展するのだ。

 

決して、スターウォーズのような戦争には発展しないのだが

この物語が面白いのは、心理戦と、アクションと古典的なSFの形がバランスよく。

サイバーパンク以来、ずっと電脳世界をメインに読んでいた私にも楽しめた。