半年、、、いや、もっと1年近くも前でしたかね?! 図書館でたまたま見つけたこちらの本。
いつかブログに書きたいと思いつつ、なかなかきっかけがなくて、、。先日また借りてきて、再読中。で、今回の投稿ということで。
いや~、この本、実に面白いですね。
実戦唐手名人として名高い本部朝基に関する本ですが、中でも「本部朝基先生・語録」が面白い。
最初のページだけ写させてもらいますが、そこからちょっと抜粋するだけでも、
「5、当身の力の乏しい相手の攻めはいちいち、受けなくともよい。一気に攻めるべきである。」
「7、実戦の際は、なんといっても顔の攻撃が第一で、一番利く。」
「11、本当の事は、やってみなくては判らない。」
大道塾のような「顔面攻撃ありのフルコンタクトノックダウンルール」でやっている者からは、いちいち、「うん、うん。そうだよね?!」と頷きたくなる内容です。
逆説的に言うと、こういった事を本部朝基がわざわざ言っている、それが語録として残るというのは、これと反対の事を言う先生方が彼が存命中の頃から多かった、ということかも知れません。
でも彼はそう思わなかった。「強い人ってやっぱり現実主義者なんだなぁ」というのが素直な感想。
こうしてみると本部朝基のやっていた唐手っていうのは大道塾のスタイルにすごく近しい感じです。
例えば大道塾では、一般の空手で良く用いられている、三戦立ち、前屈立ち、後屈立ちなどの立ち方はほぼ全て廃止されていて、組手立ちで統一されていますが、本部朝基も
「12、ナイファンチンの形の足腰の在り方が、唐手の基本である。」
「13、ナイファンチンの形を左右、いずれかに捻ったものが実戦の足立ちで、(以下略)」
「34、自分の唐手には、猫足、前屈、後屈などという立ち方はない、(以下略)」
などと言っています。
全部で38項目の語録、逸話の紹介の内、3つも「実戦ではナイファンチ立ちだけでいいんだ」といった旨の記述があるというのはすごい。
その本部朝基のナイファンチの立ち方は意外と狭いですね?! せいぜい肩幅強といった感じ。
これを斜めに捻って向ければ、ほぼ大道塾の組手立ちです。
他にも面白い記述があって
「36、蹴りは場合によっては、とっさに我が身体を後足を支点として、前足を上げながら、捻って避ける。この際、双拳を手甲を外に向けて横受けの形に立てる。(後略)」
これなんか今のムエタイ(他、キック、フルコンカラテ、空道等)で使われるミドルキックのカット(脛ブロック)のフォームそのものですよね?!
本部朝基の高弟で、こちらも実戦空手家として名高い山田辰雄が、日本拳法空手道として今で言うところのグローブ空手を始めて、キックボクシングに繋がっていったのも「なるほどなぁ」とよく分かります。
でも本部朝基は蹴りに対して、
「7、蹴りは実戦の際、大して利かない」
と述べているのも面白い。
大道塾の東孝塾長も、その著書「はみだし空手」の中で、自身の実戦経験として「中段回し蹴りが効かなかった」と述べています(p99)。
そういえば「いかにも馬力のありそうなゴツい体型も、本部朝基と東塾長は似ているなぁ」と思うのは私が塾長の弟子だからですかね?!
他に
「24、酒ものみ、いろいろと人間の楽しみを味わうことも必要だ。あまりコチコチした人間の芸(註、唐手のこと)には味がない」
この語録も東塾長を彷彿させます。
そして何といっても本部朝基の道場名って「大道館」って言ったんですね⁉ 私、この本でそれを初めて知りました。
そんなこんなで、この本、ものすごく面白いです。今、自分のやっている空手を見つめ直す為にも、全空手家必読の書ですよ。
大道塾"TEAM-U"浦和/北本/大宮西ホームページ
http://kudo-teamu.life.coocan.jp
ただ今、入門生募集中!
目指せ、自分史上最強!!