ちょこっと解説       二豆

七段目                       團治郎

蔵丁稚                       歌之助

質屋芝居                   米團治

中入り

中村仲蔵                   よね吉


自分の勉強のつもりで切符を買ったが、大変な間違いでした。

恐れ入りました。ここまで音曲とハメモノをやるとは思わなかった。

米團治氏以外は皆さん、お初であったが皆様それぞれ音曲噺をものにしていた。

七代目の團治郎氏は師匠ゆずりの端正で華やかで清潔な芸で熱演。

歌之助氏の丁稚蔵も負けじとばかりに熱演。

米團治氏の質屋芝居、大人の色気がプンプンしているのに、あっさりとしていて志ん朝を彷彿とするのは、やはり若旦那の育ちの良さから来ているのか。全身を使って芝居噺を熱演。

下座と掛け合いを!びっくり!

それもいつのまにか、太棹の音が!

見えない所に金をかけるのが粋とするなら、こんなゼイタクな仕掛けをありがとう。


10分の中入り。客席にそのまま座っていると三味の音合わせが聞こえる。

一番二番太鼓を聴いて上手いなと思ったが、ここまで本気のハメモノをすると思わなかった。期待して緞帳が上がる。


最初は所々カミカミでしたが、それが後半に進むにつれてわかった。五段目の斧定九郎の出番のほとんどを演じて見せるのである。そりゃ後半の段取りに頭がいっているはずだ。


こんな演出初めて観た。落語でも芝居でも講談でも観たことがなかった。

与市兵衛を刺して刀の血をふき取るところは下座の三味の音が合い名場面だがそれを演じて見せ、下座も同じように音を合わせるのである!

その後の「五〇両〜!」のあのセリフも同じように!

いや〜、あるようで今まで一度も観たことがなかった。やったとこを観るとめちゃくちゃ良いのである。


私以外の客も完全に引き込まれていた。


またオチのつけ方が粋。下座の皆様ご苦労様でした。


やはり芸事は上方なのだろう。上方の芸人の底力をまざまざと観た。


今年上半期ベストの芝居でした!

米朝事務所と米團治御一統様、素晴らしものを見せていただき、ありがとうございました!