---まずは、「日米同盟」の存在理由についてお聞かせください。
冷戦時代は、日米は西側のプレイヤー同士、
きちんと意思統一がなされていたと思います。
---今は違うのですか?
当時は、日米だけではなく、
西ドイツ、イギリスにしても、
米ソ全面核戦争の脅威の下では
みなが運命共同体でした。
---核戦争が始まれば、西側はほぼ同時に滅亡する?
そうです。
その恐怖を西側諸国全体で
共有していたと言えるでしょう。
冷戦下の1986年に、東京で開催された
サミットの報道写真を見ても、
7人の首脳がズラリと並んで、
その表情は緊張感に満ち満ちていました。
---当時、自分は週刊誌編集者として、関連特集の取材をしていましたけれど、レーガン米国大統領、サッチャー・イギリス首相・・・と、まさにオールスター級の西側指導者が集まっていました。
今、思えば歴史的な顔ぶれでしたね。
---その共通の敵としての、共産主義・ソ連と東側がなくなった・・・。
今、中国が次の敵として現れたけれども、
実は日米は同床異夢になっているというしかない。
---日米はそれぞれが、どんな異なる夢を見ているのですか?
結論から言いますと、
日米間の国益の差ですね。
冷戦終了直後からその差が
どんどんと広がって大きくなっています。
例えば、北朝鮮のミサイルが、1000発以上あって、日本を崩壊させることができるとしてもですね、米国にとっては、「北のミサイルはウチに届かないから、関係ない」ということになります。
---そんな冷酷な・・・。
だから、日米同盟は同床異夢、
というんです。
さらに言えば、中国のミサイルも
米国に到達するのは、100発前後です。
米国はやる気になれば、
中国に数千発単位の核ミサイルを
叩き込めますから。
だから正直、
「中国も関係ないから」
というスタンスです。
---対ソ連であった全面核戦争の恐怖は、対中国と対北朝鮮では、米国にはほとんど影響ないということですね?
平たく言うとそうです。
日本のメディアは勘違いしているのですが、
敵国を最初に攻撃する兵器、
つまり、ファースト・ストライク・ウェポンは、
地上発射の弾道ミサイルではなくて、
潜水艦から発射する弾道ミサイル
(SLBM:Submarine Launched Ballistic Missile)
であるということです。
これは、軍事学の基本中の基本です。
北朝鮮にSLBMはありますか?
1発もありません。そして、中国は・・・。
---SLBM搭載の晋級094型原子力潜水艦が3隻あります。しかし、戦力化に関してはまだ、疑問符がついています。
専門家から見ると、
全然、話にならない。
その原子力潜水艦が、
米海軍第7艦隊を素通りして
米国本土まで接近するのは、
現時点では不可能です。
さらに米国は東西を
大西洋と太平洋という大海によって守られ、
南北をカナダとメキシコという友好国に守られています。
その米国を直接攻撃することは、
並大抵の軍事力ではできません。
そしてまた、
中国は米国への核攻撃力を持っていないんです。
それから、日本人はミサイル・ディフェンスについては、
大きな勘違いをしていますね。
---どういうことでしょう? 北がミサイルを撃つぞと言えば、海自精鋭の対弾道ミサイルSM-3搭載のイージス艦が日本海に展開し、空自の地対空ミサイル・パトリオットPAC-3が地上展開して、万全であります。
それは、ミサイルが発射されてから、
飛翔中か着弾寸前に、撃墜しようとしているんでしょ?
---防衛でありますから。
ミサイル・ディフェンスには
推進段階のブースト・フェイズ、
水平移動中のマイルド・コース・フェイズ、
落下段階のターミナル・フェイズ、
そして発射前のフェイズ・ゼロがあります。
日本では最終段階のターミナル・フェイズで
叩くのが基本になっていますが、
たぶん小学生でも分かると思いますが、
弾道ミサイルはフェイズ・ゼロと呼ばれる
発射寸前の地上でぶっ潰すのが一番確実なんです。
米国と日本のミサイル・ディフェンスの発想は
完全に違うと言わざるをえない。
撃つ前に叩く、これが米軍の発想ですから。
北朝鮮の移動式トレーラーから発射する
ノドンミサイルを、発射する前に米軍は潰せます。
衛星ですべて見えていますから。
---すると、日米の同床異夢の米国の部分を翻訳すると、「敵がソ連の時は、日本に、また、米国にまで核ミサイルが飛んできて、同時に滅亡する運命共同体だった。だから、一緒にやろうぜ、という真剣な日米同盟だった。
しかし、今は、米国に北朝鮮のミサイルが届くことはない。中国のは数が少ないから、米国は滅亡しない。だからさ、君たち、日本だけで、まず何とかしなよ」と言うのが、本音ですか?
はい、そのとおりですね。
---確かに、日本が考えている日米同盟と少し違うような・・・。
日本が対北朝鮮で持ち出している拉致問題も、
米国の国益とは何の関係もないですから、
政治的な関心はゼロです。
ブッシュ大統領の時も
「同情しますよ。でも、ウチは関係ないです」
というスタンスでした。
ところが、日本は北との交渉で、
つねに拉致問題解決を最初に挙げています。
さらに、6者協議に持ち込もうとしたこともありましたね?
---対北では、なんといっても拉致問題は日本の一番の問題ですからね。
しかし、6者協議は、
北の核の話がテーマなのであって、
拉致は関係ないです。
ここにも、日米の温度差は出ています。
---なるほど。
普天間基地の問題も、
日本は、沖縄の地域問題として捉えていますが、
米国は、東アジア全体をチェス盤と考えて、
その中の一つとして普天間基地を捉えています。
国内問題として捉えている日本と、
世界を6つの戦略シアターに分け、
そのうちのUSPACOM(米太平洋軍)内の問題
と考えている米国とでは、当然考え方は違います。
---何故、そのような違いが出てくるのですか?
国家戦略目標があるか、ないかの違いです。
最初に、米国には、国家の指針としての
国家戦略目標があります。
大統領が代わっても、米国はつねに
パックス・アメリカーナの下に、
米国主導の世界平和を維持することを基本としています。
これこそが、米国の国家戦略目標です。
民主党であろうが共和党であろうが、
誰が大統領に就任しようが、
国家戦略目標は変わりません。
民主党のオバマ政権下では、
世界の警察官としての任務を少し放棄しかけていますが、
基本は変わりません。
要するに米国の一国主導の下にやっていく。
国連は付属物でしかないということです。
そこでお尋ねしますが、
日本人に、「日本の国家指針はなんですか?」
と聞くと、どういう答えが返ってくるでしょうか?
---拉致問題解決と、普天間移設問題ですか?
それらは、日朝の二国間の問題と、
沖縄の地域問題ですよね。
---あっ、そうです。
日本人で、日本の国家戦略目標を
すっと答えられる人はほとんどいません。
---ヘーゲル国防長官が、「NATOは米国をいつまでも頼りにしてないで、自国の防衛にもっと金を使えよ」と言っていましたが、NATOも日本と同じ立場ですか?
少し違います。
NATOは米国を利用しているといったほうが正しい。
米国に金を使わせています。
逆に日本は、完全に米国に利用されています。
---利用されている?
「思いやり予算」を払い、
米国の言うことはとにかく
右にならえで全部聞いているといっていいでしょう。
---それなのに結局、同床異夢で、捨てられようとしている・・・。
そのようですね。
日米同盟の存在理由として唯一残っているのは、
日本の地理的条件だけですね。
---ユーラシア大陸の太平洋側で、大陸から海に進出しようとしている勢力を
辛うじて止めている城壁のような日本列島、ということですか?
そうです。
この発想を実感したのは、
アフガニスタンに米陸軍第82空挺師団兵士として出征した時ですね。
---どうなっていたんですか?
自分が駐留していたのは
アフガニスタンの米軍基地でしたが、
米軍基地の外側を囲むようにして、
訓練しているアフガニスタン軍の基地が配置されていたんですね。
だから、外側から敵に攻撃されたら、
最初にやられるのはアフガニスタン軍なんですね。
なんといっても米国人は、緩衝地帯を置くのが好きなんですよ。
---東アジアでは、そのアフガニスタン軍が、日本国自衛隊なんですか?
そうなります。
---その日本から、在日米軍が撤退してしまうのですか?
既に、始まっています。
そして、最悪の事態を考えると、
米軍は日本から全面撤退します。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40187
こちらのLINKより…
……………………………
日本としての「国家戦略」の見えない政治家は
血税貪ってのうのうと生きている売国奴ですな。
『一身獨立して、一國獨立す』
戦勝国の都合で飲まされた憲法のまま、
国防も腑抜けであれば、
あとは同盟国とだって利害が隔離していけば
『置き去り』
にされて國家存亡どころか民族滅亡の危機です。
そこのところ、護憲派や能天気平和ボケさんたちは
どう考えていらっしゃるのでしょうか?
対案と善後策を教えて頂きたいものです。
特に、日本共産党、社会民主党、
民主党の先生方には…
なべちゃりん