岡田目線


ゆうちゃんが泊まりに来た。

ふわふわしてて、あったかくて、可愛くて、愛しい。


どこが好きと聞かれたら、迷わず全部と答える。
ありきたりだと思われるかもしれない。
中身が無いと思われるかもしれない。

それでも、全部。

ほんとに全部が好きだから仕方がない。

まずは、顔が好き。
可愛いし、とにかく可愛いし。

でもそれだけじゃなくて

笑った顔が好き。
困った顔が好き。
怒った顔が好き。
悩んでる顔が好き。
眠くなった時の顔が好き。
イタズラを考えている顔が好き。
はにかむ顔が好き。

ほら、顔が好きにもいろいろあるでしょ。

ゆうちゃんの全部が好きで、それら全部をあげてたらほんとキリがないから

それに

他の人には知られたく無いゆうちゃんもいるし。


だから、全部。

全部の中にいろいろ隠して、大事に大事に守ってる。


もしゆうちゃんが弱っても、何があっても、私が守るよ。


「ゆうちゃん」

名前を呼ぶと、ゆっくり振り向いて、わたげみたいに儚くて、晴れた日の夕暮れみたいに広くてあったかい笑顔を向けてくれる。

お風呂から出たばかりでまだ濡れた髪を、雑にタオルで拭きながら、何も言わない私を急かすようにじぃーっと見つめるゆうちゃん。


そんな所も可愛くて仕方ない。
無意識のうちに笑いが止まらない。
可愛いよ、好きだよどうしよう。愛おしくて笑いが止まらない。


「人の顔見て笑わないでよぉ」

そう言って髪を乾かしに行ってしまった。


後ろ姿さえも好きだよ。華奢な肩に細い腰。

分かるかな。この、無性にぎゅうぅぅって抱きしめたくなる感じ。

ゆうちゃんのことを目で追って、思わずにやける。

私の視線に気づいたのか、背中で手を組んでひょこっと覗き込むように振り返るゆうちゃん。

目が合うと

「なに?」

と控えめに聞いてくる。

「あっはは☺️可愛いなぁと思って」

私の素直な想いを伝えても、「そういうのいい😑」と簡単には受け取ってもらえない。

そんな所も大好きだから大丈夫です。

好きです。ずっと隣にいたいです。


言葉にできない想い。
誤魔化すように、でも伝えたくて、別の言葉を絞り出す。

「髪の毛乾かしてあげますよ😁」


「え、いいの?」

「もちろん!いつも生乾きのゆうちゃんのために」

「いつもじゃないよ!!😤」

「でも乾かしてもらうの楽でしょ?😏」

「うん。じゃあよろしく😄」

ドライヤーを持ってソファーに座る。
私の足元にちょこんと体育座りをするゆうちゃんの艶々な髪を一束手に取って、匂いを嗅ぎたいのを堪えてドライヤーを当てる。


丁寧に、隅々まで。乾き残しが無いように。

優しく頭を撫でる。乾いてきた髪を指ですきながら、優越感と多幸感を味わう。

首元の髪を指ですくと、くすぐったそうに肩をすくめるゆうちゃんのほっぺを、ドライヤーを一度止めて後ろからぷにっとすると、クスクス笑って振り返る。


上目遣いに訴えられて、顔を近づけて微笑み返す。


もうすぐ終わるよ☺️
心の中で言う。

ドライヤーを再開すると、前を向いて髪を乾かしやすいように、首を傾けてくれる。

天性のものなのか、誰かに乾かしてもらう度についた癖なのか、

もし後者なら、その誰かって誰だろう。

見えない誰かに腹が立つ。


乾かし終わって、サラサラで柔らかい髪を撫で続ける。

「ゆうちゃん、、、これからもたまに乾かしてあげるね。」


「ん?うん、ありがと。」

何気ない言葉に聞こえるかもしれないけど、十二分に重い言葉。それを、知ってか知らずか軽く受け止めるゆうちゃん。

私の重さとゆうちゃんの軽さを合わせたら、きっと丁度良い。


だから、ゆうちゃんとの会話は心地良い。


もし、ゆうちゃんから重さを感じたら、私は軽く受け止めるから。


押し潰されてしまうことのないように、無意識に保たれるバランス。


それでいいと思ってる。

そうでなければいけないと思うから。


でも今は、ゆうちゃんがどんなに軽く受け止めても丁度良くならないくらい、止められない。


止まらない。

ダムが崩れて溢れ出す。


髪を撫でながら思う。

今、後ろから、抱きしめられたらどんなに幸せだろうか。

好きだよ

好きだ

ほんとに好きなんだよ

大好きなんだ




こんなに好きだと思える人に出会えた事が、嬉しいようで、苦しいのはどうしてなのかな。


ただ幸せで、ゆうちゃんが笑ってくれるだけで体中があったまる。

でも、それだけじゃないんだね。


好きすぎて、苦しいとか、そんなんじゃなくて。


それもあるけど、


分からない。



苦しい


髪を撫でる手を、柔らかく包まれる。

「なぁちゃん?」


その顔も、柔らかい手も、優しい触れ方も、包まれて感じる体温も、

胸を締め付ける。


目を合わせたら、完全に止まらなくなってしまいそうで、目を細めてゆうちゃんの頬を両手で包む。


「もう寝るの?」


何かを感じとったのか、ゆうちゃんが聞く。

「うん、寝よっか☺️」


溢れても、抑えられなくても、言葉にしなければ、まだゆうちゃんの温もりを感じていられる。

お泊まりに来てくれるし、
こうして髪を乾かすこともできる。
一緒の布団で寝られるし、


隣にいられる。


「髪の毛乾かしてくれてありがとう😊」

屈託なく向けられた笑顔にえくぼを浮かべて、私の手を控えめに握る。


「どういたしましてー」

軽く

軽くしないと。


ゆうちゃんの柔らかい指が私をおかしくする。

急いで立ち上がってゆうちゃんより先に布団に入る。


後から布団に入ってきたゆうちゃんと、肩が少し触れる度に、温もりを感じる度に、


幸せで

苦しい。



好きです。

ゆうちゃんのことが、宇宙で1番大切です。


ゆうちゃんの全部が、大好きです。


いつか、

いつか伝わる日が来ることを願って

今日も静かに目を閉じる。