10月4日火曜日 やっと週末とドイツ統一記念日が過ぎた。
雨と無為と焦燥の日々が。
物理追っかけ錐子オババ の意識に
「ファインマンが熱弁するように、量子世界がそんなにも不確定であればこの現実の行き過ぎは当然のことである」と理の当然であるかのような文節が浮かんだ。
が、辛うじて、
「違う違う! 科学者が見ている量子の世界も幻像世界そのものである。ここに量子電磁気力学に到達して初めて、この世の基礎がなんだかおかしいとわかったのだ(マクロでは確定的であるかのように見えるが)!!!」
量子の不確定は幻像界現象であって、
何次元かは知らないが、実相界では理想の設定と遂行が行われる、
ただ、そこに反射して不確定性となった光の乱反射の中に幻像界が見える、見るのは我々幻像人間、
その世界では不完全な量子界を基礎とするため当然全てが歪む、人生設定は持っているかもしれないがそれが重すぎたり理不尽だったりするのが今の見ている現状である
10月5日水曜日になり
黙想するや、幻像錐子に対し、純魂錐子あり、意識する前にこの思いが浮かんた。
こんなことを考えたこともなかった、ショックを受けたが同時に、うれしい、飛び上がるほど嬉しい、その存在のあることを その存在をリアルに感じた。
それにしても
昨日10月4日火曜日は振り返ってみると実に面白かった。
錐子オババ の最も嫌悪し、対策を決めること最も困難な、しかしやらざるをえない、
とその前日月曜日に予定したいたことが、
天と人の采配により火曜日に先送りになった。
果たして月曜日の夜、眠れないだろうと錐子オババは思っていたが
その通りで
不安と緊張、悪い予想と予感、それに追加して怒りと恨み、頭の中に跋扈して止まらない。良い要素が全くなかった、眠れるはずがない、
なので、ファインマンの思い切って理解不能な矢印の話を試しに読もうとする。
どんな理由からにしても読むことができなかった。(それはそれとして、これを素人の聴衆の前で喋ったのだろうか。どうかしてる)
読むのを諦めて、また始めて、またまだ諦めるその寸前に、
幸いにも、最大の天才と言われるファインマン先生が、矢印の話をやめて
光子と電子のぶつかり合いに移りそうだったのを良しとしたのではあったが、
それでも現実には方策がなく対応策がなく、
混沌の渦の中で錐子オババ にできることは、
実相完全円満の例のおまじないを唱えるしかなかったが、一応その後眠りに落ちた。本人にはもちろんその移り変わりは意識されていない。
何より、恐怖だったのは頼りのスマホの電源が完全に破壊寸前、
100%なのか1%なのか表示すらあてにならない、
壊れて使えなくなる前に何とかせずばならない。
大きな電気店にメールは打っておいた。そこまで来るのも大変だった。
アップルストアのサービスから、次第に深く入っていき、
ついに蓄電池問題をスマホ自身が理解している証拠を得て、
その線で近くの指定店を探させたのであった。
デジタルの若い秀才たちを信頼するしかない。よくぞここまで導いてくれた。
これも神慮であった。
これに終わらず(まだそうとは知らず、)4日の神慮1
しかしスマホは週末中、実に綱渡り状態である。いつ真っ黒になるかわからない。
ちょうど開いた時、まだ働いていて、突然電話がきた。
ミュンヘンのH銀行の40年来の担当のマリオさんである。名前からしてイタリア系だろうか、美しい感じの良い顔立ちだ。
「先ほどクーゼル財務局と話しましたよ」
実は錐子オババ が先週末のメールで、こうこうなので直に相手方と話して何を欲しているか尋ねてくれないか、とマリオさんに頼んでいたのだ。
「息子さんの署名が必要な書類があるのでそれを送りますと。それが済めば問題ないようですよ」
「何の書類、とおっしゃいましたか、もう一度」
「セキュリティ関係の同意書です」
こんな話があると心が休まる。マリオさんたらなんて親切なんだ。
しかし、錐子オババ の歳とった心をもっとも懊悩させているのは、JBが遺した、
いつも錐子オババ が「これを誰が捨てるからってこんなに買うわけ!!」と怒鳴っていた代物の廃棄問題である。
男が自分や家族への不満を忘れるためによくやる収集癖、このために恐らく何百万円かかったかもしれない、わからないがと奥歯を噛み締める。
一部は大きなゴミ箱にこっそり忍ばせて捨てられる。しかし無理なものもある。
あるいは普通にまだ使える衣類や靴は古着収集場所へ持っていくことはできる。しかしそれも憚ることもある。量、質、重量、大きさ問題。
方法がわかればできる。方法がわからないのだ。
しかし数日前から、ふと思いついてJBが無駄に買っていた洗濯物分類袋というのがあったのへ ほとんど新品の不用品を、ズンズン詰め込んだ。
空いた衣類掛けには合気道の道着を仰々しくかけておく。
これら、3袋をどうしてどこへ運ぶ、それぞれ重たい。
運び先はもうあそこしかない、偶然に見つけた・何国人か不明の古着屋のおじさん、
うまくいくか、拒絶されるかわからないが、嫌な思いを抱えているより、結果を出そう、どうなろうと通り過ぎさせよう。
こう思ってから比較的短時間にアイデアが湧いた:
もっとも重たい袋をまず玄関近くまで運ぶ。それからタクシーを呼ぶ。
残り2袋と、もう一つの袋にたくさんのハンガーと錐子オババ の古いブーツ、JBが大昔オーストリアで買った素敵な上着を、
さらに5つ目は前日までに作っておいたヴォーダフォン の返却物入りのチョコレートの箱。
これらを外に運び出す。そうそうネットとテレビの通信関係の店舗書類も持って。
自分の体の丈夫さに驚く、夫の死後錐子オババ の体調は良いのだ。心臓がドキリともしない。
そこから神慮が働いた。働きに働いた。
そう言えば、錐子オババ がある瞬間思いついてJBの魂に怒鳴ったのだった、「さあ自分のことだから、手伝ってよね、自分で片付けてよね」
だから彼の仕業だったかもしれない。
神慮2 玄関先で荷物を並べて待っている、そのことすらも嫌な予想に苛まれていたのであった。果たしてビルギットがパートナーを見送りに出て来たではないか。
袋の中身は見えないように、雨を避けているかのように新聞紙でくるんである。
結局、
錐子オババ が大家であるビルギットに最近尋ねようとしていたことをうまくやるチャンスとなって、そのことも重要だった。時間の節約。
「まだ暖房入れてないけど、それでいいのよね」
「そうして頂戴、それに明日から暖かくなるそう」
「暖房費値上げ分は」
「あ、それね次を払うときに一緒でいいわよ」と勘のいい彼女らしい。
神慮3 タクシーは若いアラブ系の男である。「どこへ」
「最終的にはメディアマルクトなんだけど、まずはこの近くの郵便局へ、それからイタリアン「ダヴィンチ」の後ろの中古店で荷物を下ろして、それから電気製品量販店へ」そう言う数分前に思いついた自慢の案であった。
バックミラーに映る顔は苦み走ったなかなかいい男だ。愛想はないが。
郵便局は問題なし。
街中のイタリアンの裏に出るためには、裏通りを抜けてゆく、大きな駐車場になっていて大混雑、黒人の女が運転するトラックが邪魔をしてるのへは
「ちょっと前に移動するんだよー」と怒鳴った。
「ほら左向こうの、赤い垂れ幕に1キロ1ユーロってあるでしょ」
その前に止まって、ちょうど店を広げていた例のおじさんに、
これまたさっき思いついたセリフを言おうとして、
くったくないかのように「ほら持って来たわよ」と見栄を張る錐子オババ、なかなかの役者だ。
「この中にパーティ用の服、珍しいものだからね、靴も入れてあるから」
「珍しいのかい」「そうよ」と喋りつつ荷物を出す間に、
運ちゃんはもう財布を開いてしかめっつらで、
「何分かかるの」「10分」
「だめだ」「5分」「それもダメだ、ほら」と振り返った。
2方向から車が押し寄せている。錐子オババ もびっくりして、
「もうこのままいっていい?」と瞬間的に尋ねていた。
おじさんもつい「いいよ」
それ、来た、待ってたその言葉、このタイミング、押し付けた、さーっと逃げ出したのであった。
突き返されたらどうしよう、いくつかの古着置き場をタクシーで回ることにするか、とあれこれ思い煩っていたのだ。
こんなにうまく行くとは、最上の最高の出来だ。最終目的地へ向かう道すがら、運転手は次の客が待っていると言うのだった。
「実はね、スマホが壊れてしまってそれでメディアへ行くの、だからあなたを手放すことができなかった、次を呼べないから。あなたは忙しいのね」
「メディアまでは運んであげますよ、そのあとは店にタクシーを呼んでもらえばいい」
「そうか、いいアイデア をもらったっわ」
ふと、錐子オババ はほとんど泣き出していた。
緊張が解け、少し親切気を見せてもらえた時、それは2018年にホテルの部屋をやっと取れた時、ほっとして落涙した時と似たような状況だ、その時も絶体絶命だった。瀕死のJBと路頭に迷うところだった。
「夫がこの前亡くなったので、あれこれすることがあるのにスマホが使えなくなるとねー」と言いながら声が震えた。
不思議なことに、運賃はたったの22ユーロだった。錐子オババ は25ユーロあげたのだが、あとでもっとあげたらよかったと後悔したのであった。
神慮4 大阪梅田のヨドバシカメラとかは8階建ほどの店構えである、ここではただのワンフロワーだけれどアップルの許可店らしい。
錐子オババ 、トコトコと探しながら進入していく、
小さなボックスに男が3人 詰め込まれている、そこが目的地と見た。
一人はトルコ系、一人はアラブ系、そして客に対応しているのは若手のそれはロシア系である。優しげな面立ち、色白で目の色が薄い。緊張しているか。
事情はすぐにはっきりした。
錐子オババ の10年もののスマホが生き返るらしい。「運が良ければ、いい結果になるでしょう」と彼は言って1時間後に来てとのこと。「あなたはまだいるの」「ええ、18時まで今日は」
なんて素敵な気分だろう。もう何個か解決させた。
あまり来ない地域だがリハビリに通っていた頃バスから見て知っている。大きなセカンドハンド店、セーターがないかなとぶらぶら入っていく。また無い、ブラウスばかりでセーターが少ない、個人の持ち込み不要と書いてある。
手ぶらで外へ出て、スポーツバーという店の外の椅子に腰を下ろした。
すぐに出て来たのはアフリカ系の若者。この店を所有してるなんてすごいなと思う。その日急に暖かくなって 芝生に黄色い「馬の足がた」が咲いていてまるで春がきたような空気である。
陰なので、「ちょっと寒いから日の当たるところに椅子を移してもらえる?」とちょうど出て来た女の子に尋ねる。
「それにね、上から水が垂れて来たから」雨樋から垂れている。
それを見上げたところ、ちょうど恐ろしく高いところを舞っている鳥の姿があった、そこから落ちて来たかと思った。もしここにエベレストがすぐあったら、8千メートルってどんな感じでそびえているだろう、などと夢想した。
レモン茶を飲んでから、店主にスポーツバーとは何かと尋ねた。中に大きなテレビを置いてみんなでスポーツを観戦する店、なるほど。
問題は何もなく、錐子オババ はまるで生き返ったキリストのようにスマホを返してもらった。55ユーロ。日本だと七千円らしい、ネットで調べたところでは。
「それでね、あなたの助言を聞きたいのだけど」と錐子オババ が顔を仕切り板へと近づけた。マックそのものの音声割れなどを話したのだが、そこではスマホの修理しか許可されていないとのこと、「じゃやっぱりフランクフルトまで行くのねー」
まあ、受け取りに来てもらったり郵送したりの手段はあるようだったが。
その店を出て、バス停までかなり歩き、偶然でバスが来るかもと待つ、
しかし諦めて新しい道へ、見当を頼りに歩き出す。
しばらくするとバスがやはり行くのを見かけた。残念。
しかしそこは初めての小道、自然に本駅に入り込むようになっていた。駅でしばらく休憩して、テクテク、駅の正面へ出る。広場を渡り、繁華街へ、そこでテレコムとヴォーダホンの店で手続き完了の手続きをスマホで済ませた。
滅多に来ないその通りは陽気になったのですごい人出になっていた。新しい店に代わっているところが多い。
最初にヴォーダホンの前まで行った時、ベンチに腰掛けた。
女性がいたが会釈して座ったのだ。何か食べているので覗き込むと、「これそこで買ったの、おいしいわよ」と青い目の下に青いアイラインが似合っている。
「私旅行者なの、59歳よ、看護師」と尋ねないのに自己紹介。
「離婚したばかり、大腿骨頭骨折手術2回もしてね、鬱や病気になって、そしたら旦那がこんな暗い女じゃ嫌だって。でも今や私、元気女よ。自由になって。彼は怒ってる、口座を閉められちゃったから、だって私もずっと働いていたから半分はあたしのものでしょ、まだ67歳までは働くけどね」
「孫は云々」などともう彼女の人生大半わかった錐子オババ 、お返しにJBの死亡事故のことを漏らす。「あ、そこの眼鏡屋で予約あるの、会えて良かったわ、エリカと言うの」とまで言われた。
それから魚レストランでゆっくり食べた。3回目だった。
さて、明けて10月5日、予定のない日だったが、暖かいと言うので墓参りとした。珍しく荷物が全くなかった。
本格的にJBに宣告した、「あたしたち助け合うのよ、どこにどうしてるのか知らないけど、ちゃんと決まりをつけようね、一緒に仕事するのよ」
ちょうどいい時刻で、本当にいいところねと独り言を言いながら、ベンチに座ってちょうど来ていた手紙を開いた。
ちょうどそこへ息子から連絡がきた。
いずれも新しい問題と仕事を意味している。重たい。
手ぶらだったせいで、買い物をする元気がまだあり、買い物をしたせいで重たくなり、錐子オババ はよろよろで帰り着いた。
玄関で幸いにもシリア人父と会い、数メートル荷物を持ってくれた。彼は靴と腕時計が欲しいと言ったがJBには靴がなかった、壊れかかった1足以外。腕時計もなかった、妻のものをしていた。
夕方、ちょうど出会ったシリア人母や娘には毛染めをあげることができた。
さて、錐子オババ のやや新しい妄想:
実相界の唯一独尊の人々(例えば純魂錐子)の多様性は
生物界の多様性を見れば明らか、でもちろんそれ以上の完成形である。
光はそもそも始原の存在であり最初から縦横無尽に飛ぼうとしていたわけで
実相界の純粋物質にもちろんぶつかる、実相界には何の矛盾も起こらないが
その光はファインマンの言うようにまぁ我々から見れば不可思議な広がりとか収束とか、消滅生成とかを見せて、そもそも反射するあるいは反射しない、
なるほどこういうわけで幻像界が生じざるを得ないのか、つまり
お互いの反映が相手の反映を見る、そこに不確定性が重なり合う。
学者たちのこの不確定な世界を理解し表現しようとする努力は悲しい程であろう。
幻像人間の意識を満足させるような整合性に辿り着けるのだろうか。
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1002 湯たんぽと夜を供にするその温さこれも仕合はせ我には十分
亡き友の蔵書数冊夜を供に丸谷才一 ファインマンも良し
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