2026 令和8年 2月4日
今夜は大満月の夜であった、麗しい夕景もあった。
月を忘れていたので意外さもあった。おやこふたりで鑑賞した。
あの姿がうかんでいるだけで、世界の様相が変化する。
次男宅におそらくはじめての訪問客として迎えられる、
椅子も箸も二人分しか無かったのが何よりの証拠だ。
かたづけたのではあろうが、趣味の良いやさしいいい部屋だった。それも嬉しかった。
実はこの日、デイをさぼりサクラマチで 京風茶屋で 初めて
ご飯にだし汁をかけたものと、これまた初めて 抹茶ティラミスなるものを食べた。
その時、目の前に清水寺の全景が新緑の中に広がっていた。
修学旅行で、あたしと緑さんにつきまとう男子がいた。当時3人組の中の、恐らく彼の意中の人であるもう一人の美人高校生が欠席だったのに、残りの二人にせめて寄ってきたのであろう。最終にちかづいた旅行の大団円にまで、朝から呑気な顔を出されて、「またア」とあたしたちは同時に叫んだのだった。拒否反応が余りにあからさまだったため、可哀想にさすがにそれからは近づかなくなった、まだ生きているかなトランペッターだったという彼。
店には、ひとりの完璧ご婦人がいた。体の老化は隠すべくも無かったが、
顔その他は見事に格づけられていて、あたしには好感が持てた。
彼女はこちらを一顧だにしなかったと思うけれども構わない。
ふとあたしは笑った。
ひょっとして同じくらい気高いと競う気持ちがあるの、あたし?! それは噴飯ものだ。
セリナの大袋持っているのだから。そこで百円のものをたくさん買ったのが見えている。
さて、あたしがご機嫌な理由の半分はこれである:老人ホームでの
宿泊と食事で60000+50000=110000/月、 これは実費。
あとは介護保険を使ったサービス、風呂洗濯掃除着替え薬管理世話全般、これが1割負担だと4000足らず/月、合計たった120000? らしいこと。
2月9日
心身に苦と悲を感ずるは意識の迷い、妄想にして、喜と楽を感ずるは真の我也、
薄まりて明らかならぬ我らなれど、その実相はげに、、ほがらにして変幻自在。。
2月10日
今夜は下限の半月だとわかった、どこで見ただろう、施設で、
勝手に室内を歩き回って、運動不足を密かに嘆いていた時、
奥まった窓から 白く浮かんでいるのを見つけた。
あたしは思わずにっこり笑った。
朝、どう見てもあるようにみえるので、そばまで行ってしゃがんで検分して
ふと浮かんだ歌をメモした、ホームプラザナフコのレシートの裏側に
「生きている切り詰められし薔薇の枝にほのかに早緑香るがごとし」
実はハイビスカスだが音数がむずかしいので、変更の次第となった、
赤いハイビスカスと香る白薔薇とくちなし、勿論白。この3つを横浜から連れてきた、
春を待つ気持ちはこことも関係がある。
このアパートの周囲は、横浜とは大違い、畑や空き地が延々と
いくつかの川を擁して広がる盆地である。
遠くに円形に山並みが連らなっている。その一部はけむりを吐く阿蘇山だ。
最近、不思議な感覚がある。目覚めて時計の日時を見る、
そこに何の不安も焦燥もない、追い立てられる感じがしない、
つまりあたしはすでに人生の果てにきて、もうどこにも移動しないでいいのだ、
という安心感、急ぐ理由がない。何もしなくていい。
もちろん、明日からもっと本格的に所得税の申告行動を取り、荷物をまたもや仕分けして、またもや減らす必要があるだろう。しかしあまり悲壮感がない、
できると思っていて、それゆえにいくばくかの楽しみが添っている。
そしてどんな理由か知らないが、けっこうよく眠っているようだ。珍しいことだ。
今日は、ようやくにして、自分が今から身を任せようとしているシステムが
もう一段理解できた。説明を友人に必死で書き送ったので、それをここに拝借としよう。
「痴呆の海、さすがに助けてくれーとなり、明日から数日サボリ。食事は昼夜分をまとめて宅配。風呂だけ入りにきてもいいって、送迎付き、背中こすってくれる温泉。
どうもこんな考えに慣れるのが難しい、、現実はどんなびっくりが待つのか?!
横浜で通ってたのはヨガリハビリの3時間もので、要支援1の場合、
月4回で3400円という1割自己負担、つまり保険から9割施設に支払われる。
私の介護度では週2は無理だった。
仕組みは同じ自己負担額だけど、この場合では、特別な安上がりの法律が作られたとか、
同じくらいの月の負担で30日間、
配膳、掃除洗濯干して畳んで、服薬、着替え、通院、送迎、病院にいるみたいな
丸々の世話をしてくれる、もちろん介護度で費用も世話も変わるけど。
通ってもよし、泊まりでもよし、ただ宿泊と食事代は実費だけど公平に、合計11万ほど。
オムツなども実費。医者は来る、或は付き添いで連れて行く。これは医療保険。
子が親を自宅で介護してた仕事の全部を、手分けしてやってくれる。
ここまではわかってきた。なかなか理解できなかった。まさに福祉なのよ。
今日やっとここまで理解したこの仕組み、一般の施設とは異なる。
ただ、30日分払って、余り世話を受けなくても返金はなし。
つまり それをうけいれるほど切羽詰まった近隣の老人相手で、通いも泊まりも好きなようにできる、それは老人たちが元々から、
そして今も自宅がある場合が多いし、離れたがらないから。
日の当たるこの部屋! 8年ぶり。
次男が良くしてくれます、多分お母さんというのを経験したいのでしょうか、有り難くてたまりません。
うん、そう、彼女がむしろ利用者を探してると私は理解して引越しを設定したのだけど、
間近になって、居場所がないとわかり、とりあえずカプセルへ、大特価だったしね!
空いていると思ったのが間違いだった!お馴染みのエラーでござんす。」
という経緯を経て、
錐子という偽名すら必要ないほど? うっとりとあたしは日を浴びている。
突然2、3のことを思い出して思い出し笑いをするというラッキーさ。
朝一番に、右耳の中で例の如く、大衆がガヤガヤを喋っている、
すると軽く鬱っぽくなる、何故か。単に生理的な理由だろう。
ガバと電気毛布をはぎ、いきなり運動を始めた。この元気とやる気はひさしぶりだ。
股関節が悲鳴をあげたのでほどほどで満足して止めた。ヨシ、と。
それからまたいきなり、歌いだした。きのうの痴呆カラオケ大会に触発されて。
試しに君が代で始めた。ゆっくりなら歌えるかという作戦だ。
次は、さくらさくら、次は越天楽、次は夜汽車、次は冬の朝、リズムと音程は
何とかそばまでいけるが、なんという声か、ひょっとして叔父の一人のように
喉頭がんかも。蛙声である。息も足りない。
最後に、はは、と笑った声は覚えている自分の声だったが。
タイマーで部屋はすでに暖かい。裸になって体重測定、2月の施設食以来
体重は下降気味であり、オーケー。
そそくさと、昨日と同じ服に身を包む、ピルクルや白湯まがいを飲んで、
となりの空っぽ室で太極拳の動きをはじめる。いくつか動きをつなげない、
8年間サボっていたが、体が覚えていないのか、とやや腹立たしい。
終わるとすこし息が上がっている。なるほど、、、確かに片足立ちが不安定、
というかほとんど不可能だ。
めげずにファミマへでかける。少し頭がふらつくが、面白いだけだ。
カレーが主食、コーヒーも買った、するとレシートに(ところでレシートという言葉をしばらく見失っていたので、友人に助けを求めた。なるほど、ドイツ語と同じだった)
次のコーヒーで30円引きと書いてあるそうだ。いつも二杯のむので、よろしい配慮だ。
買い物にヨーグルトを加えたのは、服薬のためにいつも必要な特別なゼリーの
代わりになるかと思ったからだ。案の定、それで服薬が出来た。
夕方5時過ぎ、約束通り、お弁当2つ昼夜用が運ばれてきた、
いつもの実直そのものの、あたしの父を思わせるじいさんだ。ところが、お箸がない。
どこかにあるはずだが、みつからない、たくさんの段ボール箱の
どこかに押し込まれている。何か代用を探すが全く見当たらない。
結局役立ちそうなものは歯ブラシであった。最近、歯ブラシのいろいろな形を
使うので幸い二本以上持っていた。それで食べた。食べにくかった。
一体地球上歴史上のどんなアジア人が、歯ブラシでごはんを食べただろう。
きっとあたし一人だ。くっくっと咳き込みながらかきこんだ。
さらに、不思議なことに探し物が次々に見つかったのである。
確定申告に必要な医療領収書、施設との契約に必要な印鑑、電気のケーブル、
この反対現象を除いての話。
さあ、
確定申告の材料は揃った、あとは e-TAXがうまく作られていればいいのだが。
相談係にこの喋りで電話して、よだれをたらしながら必死で問題箇所を説明したら、
正解らしい答えはもらえた、かもしれない。
そしてまた、横浜の大学病院に紹介状を急かすために電話した、
待たされること1時間、直接話すことはありえないが、ドクターむぎた曰く
「来週中に仕上げます」だそうだ。仕上げるって論文じゃあるまいし??
ところで、認知症ではないと自分をみなしているあたし、実はやがて
小脳変性症の流れとしてそうなるのである。ま、どうなるかはお楽しみ?
今日は、やっとたどりついた最高の充足、完璧、希望、喜びの一日であった。
まだ4時間残っている。世界中にも安心を送りたい。
ここで10時間前に30円引きで買った珈琲の冷たいのを飲む。
残り半分うまく飲めるかな?
改作 悪化した!




