ギジリとイドが使った呪術の考察 その2  | Liber Kukulcan

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いつの間にかZektbach考察が主になっちゃってたブログ

過去の考察をお読みになる際には
更新された日付に基づいて書いているのでご注意を

はい、今回も始めます

今、いつかけるのかわからない状態なので

書けるときに書いています

手は一切抜きたくないので、

突発的になるかと思いますが宜しくお願い致します


なお、考察に嫌悪感を示される方や

ネタバレを避けている方は

離れていただくようお願いいたします












よろしいですね、では参ります!!!



今回は、この呪文の構文を見ていきたいと思います

主に二つの部分に分けることができます

まず前半部分

最初に「火産の宣説言」、「禍津神の邪説」など

今から使う術を宣言します


魔人たちの火産の宣説言の練習風景を聞いていますと

この部分が端折られていても炎が上がっていたので

唱え無くても術は発動するようです



次に「天に神留まり坐す」か「天に神避ります」の二つがきます

前者は宣説言(のりときごと)、

後者は邪詞(よこさまごと)に対して使われます


祝詞の言葉にも「天に神留まり坐す」というのは

文の先頭に言われることがよくあり

「天に神留まり坐す○○の大前に此が△△畏み畏み申さく・・・」

などと続きます


これは発端句というものです

発端句では今から神と人の仲介役のやり取りしますという

神に対してのあいさつの部分です

先ほどの例に挙げた祝詞を意訳すると

「拝啓 天に居ります○○様へ △△という者です」

という風になります


つまり、今から術を発動すると

契約していた神様に向かって宣言したと

みますことができるかと思います


ただし、「天に神避ります」という言葉の意味は

「(神や高貴な人が)死ぬ」という意味なので

祝詞の先頭に持ってくることはありません

ここから、邪詞は何かを断った時の言葉と推測できます

「天に神避りまして」となっているところから

既に死んでしまった神々に対する言葉なのかもしれません


ここで、マシノワドラマCDの脚本家酒井臨氏はこうツイートしています


カガチジンが蛇神・火産(ホムスビ)の力を用いる際に唱えます。

奇しき光から与えられた咒力と引き換えになります。

宣説言と邪説(ヨコサマゴト)は対を成します。神留る⇄神避る


とあります

このように宣説言の「天に神留まり坐す」は存在している神々

邪説「天に神避りまして」は存在していない神々と

対になっていることを伺えます


○○の命を以ての「以て(もちて)」とは

方法を表す言葉なので「~によって」ぐらいになります


以上の事柄から推測するに

「天に神留まり坐す」or「天に神避ります」+「(司る神の名前)を以て」

というのが術を発動させる一種のテンプレートで

術の先頭に宣言するものと考えられます


例外はギジリが初めて呪術を使ったとき

「○○の命を以て」は使われてなく

神の名(ホムスビ)を一番後ろにもってきてます

「吾に奉らんや(俺のものになれ)」と発しているので

この時の言葉は契約するためにあって

特殊な事例になるかと思います



後半部分は神話にあたるものです

ここでは主に術を伝説や歴史を語っています

「由来、由縁文」ともいわれています

また、目的を唱える部分と混同されている面があります

なぜこの祭を行うかなどを説明する部分です


このようなことが語られるようになったかと

文字を持たなかったころに、神話や伝説を歴史を後世に伝えたり

来歴を述べることで今から行う儀式に

正当性を持たせる意味があります

神々との対話という祝詞において、武勇伝を唱えることで機嫌を取る

儀式的な面もあるとも考えられています


よってこの部分を解読、考察することで

術の裏を見ることができます


ギジリ、イドが使用した呪文を全体的に見てみて

主に古事記、日本書紀の伝承を引用しているものがほとんどです

以前解読したときに引用部分が判明したものもあるので

ご参考までに

http://ameblo.jp/na2sif6/entry-11187567218.html


なお、このところの考察は長くなりましたので

後記したいと思います



最後に、「べし」「や」などのことばにおわっています

通常、祝詞では命令形でつく言葉はありません

「『(神や天皇が)~しなさい』と命じられました」という風に

高貴な人が言葉を言ったという場合に存在します

これは、神々の言葉を代わりに伝える人が

祝詞を唱える人であったことに起因しています


ここから、呪文を唱える人と術に関連している神々は

同等、または格下の間柄であるということがわかります



以上の事柄より呪文の構文はこうなっていると結論付けます


○○の宣説言(のりときごと)or○○の邪説

(今から使う術の宣言をする、省略可)

「天に神居まります」(宣説言時)or「天に神去りまして」(邪説時)

△△(術に関連する神の名前)を以て

術の関連する神話を唱える

□□になるべし、□□にあらんや

(などといった形にして命令形でしめる)





・・・今回はここまで!

呪文には法則性がありました

これを応用してカガチの術を作ることも可能ですね

なお、作った呪文をうっかり唱えてしまって

寿命を縮めるようなことにならぬようお願いします


せっかくなら解明できたのでちょっと作ってみたくなるのも人の性

本考察とは全く関係ありませんが

作ってみたのでお暇な方はどうぞ


火産の邪説

天に神避りまして、伊佐奈岐伊佐奈美の命を以て

美保止焼かれて神避りし時、

与美津枚坂に至り思しつれば、返かへり坐まして

心悪子の心荒びそは、四種を持て鎮め奉れと教へ悟し給ひき

水神、瓢、埴山姫、川菜を以て鎮まり賜うべし