はい、歌詞考察でございます
サクッといきましょう、サクッと
これはKONAMI及びZektbachと関係なく非公式なものです
ネタバレや考察において嫌悪感がある方は速やかにお引きとり下さい
・・・宜しいですね、では参ります
今回は比禮について、
これは「ひれ」と読みまして「比礼」「領巾」「肩布」とも書かれてます
(今回はこれらを引っくるめて「比礼」とします)
比礼を一言でいいますと
薄手のスカーフの生地をマフラーのように長く作った衣のこと
同じ長さになるように垂らしながら肩から羽織ります
(この時、マフラーみたいに捩ったり、結んだりしません)
女性が身につけるものでした
「延喜式」にはこの比礼の記述は
「絹比礼八條(長さ五尺 広さ二幅)」とあり
「領巾紗七尺、また六尺別九尺」ともあります
文献によっては長さはまちまちながらも
少なからずとも約130~140cmは長さがあったと考えられているようです
よって、普通のマフラーよりも長いです
イメージとしてはアントニオ猪木さんがかけている
赤い「闘魂マフラー」というのが近いと思います
この比礼を羽織っていた時代をみてみますと
古墳時代のものである埴輪に比礼があるものは皆無でして
奈良時代になってから古事記や万葉集に登場してきます
時代を経て平安時代に入りますと
儀式をする際に比礼をかけていたという記述がみられます(紫式部日記)
さて、この比礼は振ることで、様々なことを起こせたといわれています
振り方については具体的には掴めませんでしたが
肩にかけた比礼の端をふりふりさせたり
持ちやすい程度に軽く折り畳んでから振ったりしたようです
十種神宝(とくさのかんだから)には「ひふみ祓詞」という呪文がありまして
「一二三四五六七八九十 布留部 由良由良止 布留部
(ひとふたみよいつむ ななやここのたり ふるべ ゆらゆらと ふるべ)」
と唱えながら振るわせると使われてます
この「由良」は蛇神の歌詞にもあるので
ここからきたものだと思います
この比礼を振る行為には二つ意味があります
まず一つ目に別れを惜しむ
今でも若い女性が別れを惜しんでハンカチを振る姿があると思います
これは松浦佐用姫という悲しい伝説があります
宣化天皇二年(537年)の時
大伴狭手彦(おおとも のさでひこ)は
朝鮮半島で新羅に侵略されていた任那、百済を救援するべく
朝廷の命を受けて出兵しました
その時に海を渡るべく色々な準備をしにしばらく唐津に留まり、
篠原長者の館に滞在することにしました
この篠原長者には、佐用姫という
べっぴんさんな娘がおりまして
佐用姫が挟手彦の身の回りの世話をするうち、
二人は惹かれ合って恋仲となりました
そして時が流れて、渡る為の軍船が出来上がり、船出の日となりました
佐用姫は狭手彦を見送ろうと海を見渡す山に登り、
遠ざかり行く狭手彦の船に領巾を振りつづけまし た
しかし、佐用姫は船が遠ざかるにつれ、狭手彦を慕うあまり船を追かけてしまいます
それは山を駆け下り、川を一気に飛び渡り、
狭手彦から別れ際にもらった大事な銅の鏡を落としてまでも追い掛けたそうです
佐用姫は突端にある島まで渡って舟影をさがしたものの
その時にはもう既に船はありませんでした
佐用姫は悲しみのあまり七日七晩泣き明かし、
とうとう石になってしまいましたとさ
この物語は日本の三大悲恋物語ともいわれ
万葉集にもこの物語について詠まれた和歌が残されています
遠つ人 松浦佐用比賣 夫恋いに 領巾振りしより 負へる山の名
海原の 沖行く船を 帰れとか 領巾振らしけむ 松浦佐用姫
二つめは呪術としての比礼の使われ方です
こちらは大国主命(おおくにぬしのみこと)と
須勢理比売命(すせりひめのみこと)のお話から
大国主命は沢山兄がいましたが、
兄達が惚れていた姫を振り向かせてしまって
命を狙われるはめになりました
(詳しくは因幡の白兎の話で)
母親の案で須佐之男(すさのお)がいます、根の国へと逃げました
根の国へと着いた大国主命は
須佐之男の娘である須勢理比売命(すせりひめのみこと)と出会います
そしてみごとに恋に落ちたのは言うまでもありませんw
須勢理比売命は大国主命を連れて父親の前でこう宣言します
「私、この人と結婚します!」
これを聞いた須佐之男は
「よし、わかった、この男が試練に堪えれたら結婚してもよい」と答ました
そしてその夜、大国主命は部屋に一泊するように言われます
じつは、この部屋、「蛇の室」と呼ばれる、蛇だらけの部屋だったのです!
大国主命が入る前に須勢理比売命がこっそりと
蛇の比礼(へびのひれ)を渡してこういいました
「この部屋には蛇がいっぱいです
蛇が来たらこの比礼を3回振りなさい
そうすれば蛇は寝てしまいます」と
そしてその夜、大国主命がうとうとと眠りに入ろうとした時
蛇達はにょろにょろと大国主命に襲い掛ってきました
そこでこの比礼を使ってみると蛇が静まり返りました
おかげで大国主命は無事一夜を過ごしました
翌日、今度はムカデと蜂がてんこもりの部屋へと通されます
今度もまた同じく比礼を使って難を逃れています
このように比礼は揺することによって払うことが出来たといわれてます
さて、この歌詞の方を踏まえますと
「カガチマガビト」に対して
「比禮を由良いで」とあります
これについては二つの意味から
佐用姫がしたように別れを表していたと
カガチ=マガビトという考えからの決別ということです
もしかしたらほんの少しだけ
望郷の気持ちが残っていたのかもしれません
また、ムービーの蛇神ではイミナが見える能力に目覚めたギジリが
村の人々に生きたままイミナオトシをしているシーンがあります
劣等感に染まった村を呪ったというわけ
このシーンを表しているのではないでしょうか?
さて、この比礼についての謎が残っています
ずはり、男であるギジリが、何故女物の比礼持っていたか?ということ
色々と考えてありますので
一つめ
この比禮が女性から貰ったもの
古事記の大国主命の話のように
比禮がモフモフを貰い物だとするとつじつまがあうかなという考え
先程あげた例のように愛しの君に送る為に比礼が使われていたと思います
比礼には悪いものを掃うという効果もありますし
護身用に託されたるようにも考えられます
この説の弱い所は相手がいないと成り立たないこと
今現在でギジリに送った人が思いつかないです
(根本から嫌ったミサクヤではないし・・・)
二つめ
比禮を蛇に見立てた発言で性別は関係無し
実際の比礼と比較しますと、
短くてモフモフしているあれが
比礼と考えられないのではないか?といった所からの発展
ポップンのダンスオジャマでは
ギジリが呪文を唱えている後ろに
黒い蛇がうじゃうじゃと出てきてます
これが比礼にみえなくはないように思います
三つめ
本当はギジリが女であること
・・・まずは無いとは思うが一応この説をw
初出の時から所謂麗人という雰囲気が醸していると話題になったので
例えばもののけ姫のエボシ様とかもこの類になるかと思います
ポップンでのタウンモードでの一人称が「私」であることがあげられます
今回はここまで!
考察まるっと気合い入れて書いていたら
長文すぎじゃーーーっと投稿出来ないアクシデントがありました(^^;)
本当は前回の蛇神の分を引っ込めて
まとめたやつ上げようとしていましたが
その草案が2万近く文字があったのよね・・・
慌てていつものぐらいにぶつ切りにしまして、
さらにそこから削りに削って今に至ります
比禮が女性物なのが気になります
比禮が女物と分かった瞬間、
てっきりギジリが性まで超越したかとw
後、比禮を例える上で男性で長いマフラーかけている人っていったら
アントニオ猪木さんぐらいしか思い浮かばなかったです
(他には中尾彬さんも思いついたが
マフラーが短いし、ねじっているので没)
ギジリが「1・2・3、ダーーーーーっ」とやりながら
闘魂ならぬ蛇魂を注入する姿をみていたい気もしますwww
(誰か絵に起こしてくれないかなぁ・・・)