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長崎美術館内から望む長崎港

「背くらべ」

柱のきずは おととしの
五月五日の 背くらべ
粽(ちまき)たべたべ 兄さんが
計ってくれた 背のたけ
きのうくらべりゃ 何(なん)のこと
やっと羽織の 紐(ひも)のたけ

 

柱に凭(もた)れりゃ すぐ見える
遠いお山も 背くらべ
雲の上まで 顔だして
てんでに背伸(せのび) していても
雪の帽子を ぬいでさえ
一はやっぱり 富士の山

  これは、大正時代の童謡「背くらべ」の歌詞である。作詞は海野厚(うんのあつし)、作曲は中山晋平。

  「こどもの日(5月5日)」が近づくころ、商店街や商店の中で、この曲が流れ、消費者の購買欲をくすぐる。特に幼い男の子を持つ家庭の親御さんを。

 我々も小さい頃は、柱を身長測定計にして、毎年背丈を計り、傷を付けた。我が家の柱にも子供たちの傷が少し残っている。歌の内容は伸びやかな感じを受ける。そしてまた、そこに庶民の細やかな生活が感じられる。

  新聞紙上では、「こどもの日」にちなんで、子供の健やかで直ぐなる成長を願った記事が多い。その一方、「こどもの日」を祝ってもらえない子供が増えていることを憂えている記事もある。

 「子ども食堂」という言葉を知っているだろうか。これは、子供の貧困が広がり、食事を満足に取れない子供たちに、

無料あるいは通常よりは安い金額で食事を提供する場所のことである。現在、全国で2286カ所に上り、推計100万人が利用している。

  食事の面だけではなく、当然のことながら教育の面でも問題は起こっている。義務教育も満足に受けられない状況も報告されている。

  豊かな国のように見えるが、光の当たらない人々は多数いる。本当にどうなっていくのだろうと危惧するが、そういう人に対して何にもできない。どう手を差し伸べてい行けばいいのか分からない。原始共同社会ではこういうことはなかっただろうが、近現代にあっては、いつの時代にもどこの国にも大なり小なりこの問題は横たわっているのだろう。

  本来、明るく過ごしていいはずの「こどもの日」をあれこれ考え、1日中暗く過ごした。1日の終わり、邪気を払うという「菖蒲湯(しょうぶゆ)」に浸かって1日の疲れを癒した。

〔注〕菖蒲湯……5月5日の節句に、菖蒲の葉や根を入れて沸かす風呂。邪気を払うという。〈岩波書店「広辞苑」〉

 

「大江戸展」葛飾北斎作品のレプリカ
〔参考資料〕毎日新聞、長崎新聞2018.5.5付