「最近工房でイラっとした事

 

 

おざまーっす。

 

今、工房に27歳のイタリア人男子の見習いがいます。
おしゃべり好きでお調子者っぽい感じ。コミュニケーション能力は高そう。
勉強は嫌いと言っていたけど、地頭は悪くは無いと思う。(まぁ僕に判断されたく無いだろうけど)
ちょっと言い訳がましい。手先はそんなに器用では無い。
言われた事、見せられた物を手先ではなく、まず頭で整理して理解する。
 
先日彼に「Naoは僕にMAXのクオリティを要求するけど、
あなた達(先輩職人)がやった部品は全部曲がってるから、今僕がやってるこの作業がうまく出来ないよ」って言うんです。
「これ曲がってない?」とか「僕が今やってるやつ、うまく出来てる?」て言う質問じゃなく、
明らかに、「君たちの中途半端な仕事のせいで、僕の仕事がうまく出来ない」と言っている。
 
今回の彼のこの発言に僕はイラっときたんです。
なのでちゃんと笑顔無しで説明してやりました。
 
「そもそもこれらの部品は曲がっていない。今やってる作業がうまく出来てないのは今のお前の作業のせいだよ。
それともう一つ。そりゃ俺はお前にMAXのクオリティを要求するのは当然だろうよ。
仮にこの製品のクオリティが90点で良かったとして、お前に90点のクオリティがわかるのか?
経験がなければ90点狙っても80点のも出てくるし、
そこの違いが わかんないだろうから見習いには100点のクオリティを教えるし、見習いにもそれを要求するよ。
それでそのクオリティでちゃんと出来るようになれば、ここまでのクオリティ(例えば90点)ならOKだとか、
もうちょっとスピード上げてみろとか、徐々にそうやって先輩達のレベルに近づいて行く訳だよ。
この作業は僕ら職人は1時間で何個くらいやる、とは教えるけど、
今の所、同じスピードでやれとは言った事ないだろ?
だから、お前はとりあえず、MAXのクオリティ狙ってやればいいんだよ!
わかったか?じゃあ仕事に戻れ」
説明しながら、久しぶりに手が震えましたよ。
彼もこの説明で納得したようで、バツが悪そうに作業に戻りました。
 
以前、居たんです。
その時、見習いだった子にファビオが「遅すぎる、もっと早くしろ」って言ったら、
平均値90点のクオリティで仕上げるようになっちゃった奴が。
90点がOKラインだどしたら半分ダメって事ですからね。
結局、そいつが節約した時間以上の時間をかけて手直ししなきゃいけなかった。
この子は一度覚えた事をなかなか直せない子で、今まで教えた中で一番大変な子でしたけどね。
まぁそれから僕は新人にはスピードの文句はあまり言わない様になりました。
 
ファビオは相変わらず、見習いが作業してると僕に
「あいつ遅すぎるからもっと早くやれって言ってこい」と要求してきますが、
僕はよっぽどでない限り本人には言いません。
サンプルだったらスピード重視でいいんですよ。
だけど、お客さんの所に行く製品を触ってる訳ですから、まずクオリティを確保しないといけないですから。
でも、ファビオが早くやらせろって言うのも至極当然の事だと思います。
ファビオがその子に給料払うわけですからね。
 
 
まぁまぁちょっと余計な事も書きましたけど、そんな事があったんですよ。
でもね、この件でイラッと来たのには一つ理由があるんです。
 
先週の初めにその見習いが3カ月の研修を終えて、
これから正社員として工房で雇うかどうかファビオが決めなければいけないタイミングだったんです。
イタリアは正社員を雇うと会社の一方的な理由では簡単に解雇ができないという法律があって、
雇う側はすごく慎重になるんです。
で、ファビオは僕ら社員を呼んで「あいつどうすっぺか?」と話し合いが行われた訳です。
僕の意見は「無し寄りの有り(ギリギリ採用)」と言う風に伝えました。
なので「いやぁあいつは無しでしょ」て言う意見が出るのも全然納得できる。
みんな迷ってる感じだったので、どちらに転がってもおかしく無い状況だったんですが
結果はあと3ヶ月様子を見ると言う条件付きでしたが、一票差で採用が決まったんです。
 
 
そんな事があってからの翌日に文句言われたので、
「オメェーよ〜、俺がどんな気持ちで一票入れたか分からねぇだろうな!
俺が居なかったらお前は今ここに居ねーんだかんなぁ!こんにゃろうめ!」
と言う気持ちがどっかにあって余計にイラっとしたんでしょうね。
 
もし、工房がブレイキングダウンの面接会場だったら、
間違いなく「ファビオさん(朝倉みくる役)。この見習いとやらせてくださいよ」って言ってたでしょうね。
ブレイキングダウンまともに見た事ないですけど。。。
 
 


 

      ブログランキング・にほんブログ村へ