3位 椎名林檎 『三文ゴシップ』 2009年6月24日
TOCT-26840 EMI ミュージック ジャパン
東京事変の『スポーツ』がでてそれまでの林檎サマ関連のアルバムを聴きまくって気づいたのは、『娯楽』『三文ゴシップ』『スポーツ』、と3つ合わせて3部作だということ。このブログでもちょっと触れたが『娯楽』製作時にバンドの核であるはずの自分自身をあえて外すことでバンド全体のレヴェル底上げを図った林檎サマ。結果その試みは成功したのだが、じゃあ次にだした『三文ゴシップ』で今度はあんなにレヴェルが上がった事変メンバーを全く使わなかった。もちろん、事変とソロを区別するための措置とも考えられるが、次のようにも考えられるのではないか?「こないだの『娯楽』のみんなは最高だったわ。でもアタシ、あなたたちがいなくてもこんだけのもの作れるのよ。どうこのアルバム?あなたたちに超えられるかしら?」というコトだ。次のアルバム製作のためにアルバム丸々1つ使ってしまうというその多次元的な製作思想にはまさに脱帽である。
それまでの林檎サマの3つのアルバムよりも一貫性がないポップで、それが今までの林檎様のイメージを崩してイヤで仕方なくてあまり聴いてなかったこの『三文ゴシップ』だが、前述のことに気づいたらその言い逃れのできないポップ感にこんな意味があったのかと、林檎サマに土下座しても足りないぐらい、切腹してでも謝りつくしたい気分にさせられた。『スポーツ』はロックバンドとしての「ロックでありながらポップ」のスタンダードを表現していたが、演奏面を考えず純粋な「ポップ」感はずば抜けてこの『三文ゴシップ』のほうが高い。
さらに言えばヴォーカルの当て方にまったくもって違和感がない。とくに『労働者』は完璧だ。まさに椎名林檎は日本が世界に誇れる最高峰のヴォーカルといっても過言ではない。
2位 Soul Flower Union 『EXILE ON MAIN BEACH』
2009年10月7日 XBCD-1030 Bm Tunes
下手すればこのランキングのほぼすべてが彼らのアルバムで埋まってしまうかも、と思ったがアルバムに入ってないシングル曲ですばらしい曲もありどうしようかと思っていた。だがこのライブ盤『EXILE ON MAIN BEACH』はほぼベスト的な内容で、これをとりあえず聴いてもらえれば'00年代の彼らの音楽のすべてが解る。もちろんそれがこのアルバムがこの位置に入っている理由のすべてじゃなく、もう1つある理由はとにかくこのバンド、ライブがその真骨頂だからだ。それまで「CDよりもライブがスゴイバンド」というのは「そんなの当たり前だろ、CDで表現しきれないようなら意味ないじゃん」と思ってきたがこれを聴いてやっとその意味が理解できた。たとえば『パレスチナ』のイントロに入ってる「フリー、パレスチナ」の一言。またオリジナルには入ってるはずもないオーディエンスの声援。彼らのライブで本領発揮されるのはそのメッセージ性だ。彼らの歌う内容にこれだけ賛同する人々がいる。それだけでこの世界はまだまだ捨てたものじゃないと思わせてくれる。
聴こう聴こうと思い続けていたもののずっと聴いてなかったSoul Flower Union。今年になってやっと1枚聴いた次の日にはブックオフやタワレコを駆けづり回って、スタジオアルバムはすべて買いそろえてしまったほどに強烈だった。世界中のトラッドミュージックをかけあわせて「非戦」と「自由」を歌い続ける彼らの姿は世界中のミュージシャンどころか全人類が見習うべきだ。本当に平和をもたらす音楽が、銃弾飛び交う戦場の兵士たちが聴いた瞬間に戦いをやめてしまうような曲があるのだとしたらそれはおそらく彼らの鳴らす音楽なのだろう。
1位 中村一義 『ERA』 2000年9月6日
TOCT-24401 EMI ミュージック ジャパン
この『時代(ERA)』と銘打たれた1枚が、タイトルの書かれた白い部分をとってしまえば何の変哲もない黒い長方形が、中村一義という人間のすべてを表現しつくしていると言っていい。2000年のリリース時点でのすべてではなく、(最低でも)2009年までの彼を含めての「すべて」だ。このアルバムの前には昨年のマイベスト1位においた『世界のフラワーロード』ですらかすんで見える。
何度も何度も聴いてはいるがわからない。このアルバムがどうすごいのかわからないが、すごいのだけはわかる。そんな状況が悔しくて仕方がなく、そして嬉しくて仕方がない。ただただ、ひたすらに偉大なのだ。今の時点で1つだけ言えること、それはここにあるのは「光」だってこと。しかし、光とは闇があるからこそそれが光だとわかるのだ。ではもう一度言おう、これは「光」だ。そんな言葉しか今のボクには言えない。ただこのアルバムの解釈に「正解」なんてものはないと思う。このアルバムを聴いてあなたの思ったことが、多分その時にあなたが世界に求めているものだ。1週間後、1日後、下手すれば1時間後ですら違う表情を我々に見せつけるこの『ERA』。そして気づく、『時代』とは一瞬一瞬の積み重ねだってことに・・・・・・こういうクサイことを言わせてしまう、というかクサイことでしか表現できないんだって。


