クラムボン 『2010』 2010年5月19日
COCP-36181
COLUMBIA MUSIC ENTERTAINMENT
いってしまえばこのアルバムだけでいい。他には何もいらない。そう言ってしまってもいいほどこのアルバムは素晴らしい。一家に一枚、そのぐらいの勢いでみんなに買ってほしい一枚だ。
真骨頂は2曲目『KANADE Dance』。生命誕生の奇跡を想起させる名曲、ぜひPVも見てほしい。
そして4曲目『SUPER☆STAR』。(そんなとこに☆いれて、つのだ☆ひろかおまえは、という意味不明な突っ込みは置いといて)プログラミングを多用しながらも郁子の声で機械的になりすぎず人間的な味を残している。派手さや乗りのよさを重視する最近のクラブミュージックシーンへのカウンターミュージックである。
さらに6曲目『Ka-Ka-Ka-KaLMa!』。どこか9mm的なドラムプレイ、ベースラインを咀嚼してクラムボン風にはきだしたこの曲。壊滅感や若さゆえの衝動を歌詞で表現しながらも、クラムボン風に解釈することで、しかしそのようなものををどうしようもなく見つめている妥協ともいえる客観性をこの曲は備えている。また、ロックもポップミュージックの一側面にすぎないということをも表現している。
だがやはり最も素晴らしい点はこのアルバムが2009でも2011でもなく『2010』であるということ。まさに10年前、Radioheadが『Kid A』でこの先の10年間のミュージックシーンの展望をその時点で表現し尽くたときのごとく、まさに節目であるこの「2010年」の有意性を余すことなく使いきっている。
ただ、このアルバムはKid Aとは違い、これから先の10年を「見越した」のではなく、ここまでの10年を「見直した」という点でレディへのそれとは趣が異なるし、劣る点であるともいえる。
しかし、レディへのようなとっつきにくい一聴しただけでは嫌悪感や恐怖を覚えるメロディとは違い、万人に受け入れやすい、言ってしまえば「Jポップ」であるという点が、そしてヴァラエティ(多様性)という見境無さ、はしたなさが顕著にみられる昨今のJポップシーンからこのようなアルバムが出たという点がこのアルバムの高い評価につながる理由である。
