2020年2月、癌に抗い続けた、なるさんが
旅立ちました。52歳でした。

なるさん(主人)
 パート
たろう(息子)当時高校3年生
ことり(娘) 当時小学5年生

「健康診断、再検査」〜「突然感じた重み」なるさんと家族の闘病記です。
それ以降は、死別後の事を綴っています。
お読み頂けたら、嬉しいです。



火葬場の、最後のお別れをする部屋へ着いた。

先程の静けさから、一転、換気の音なのか?ゴーっという音が耳についた。

炉の前になるさんが安置され、火葬祭が始まった。

子供たちが、とても心配だったが、私は、色んな思いが込み上げてきて、涙が止まらなくなってしまった。

ちゃんと、子供たちを見ていなくちゃ。
自分の気持ちでいっぱいになっている場合ではない。

なるさんは、いつも自分の事より家族の事を考えてくれた。

子供たちを頼む
と息絶え絶えに言ったなるさんに
大丈夫。任せて
と私は答えたのだから…。

そう心の中で自分に言い聞かせ、一生懸命に母であろうと、思ったけれど、涙を止める事は出来なかった。

私がたくさん泣いていたら、子供達は、私を気遣って泣けない。
ちゃんと、子供たちを泣かせてあげないといけないのに。
ごめん。全然、大丈夫なんかじゃないや…


火葬祭が終わり、ついに、お別れの時。
子供たちは、なるさんに感謝を告げた。
ことりは目に涙をいっぱいためて
「お父さん、大好きだよ」
と言ってなるさんの顔を目に焼き付けるかのように、じーっと見つめていた。


私は、最後に
「少しだけ待ってて。子供たちの為に頑張るから…でも、いつか迎えに来てね。」
と言った。


Kさんは、私と子供たちを見て、小さく頷き、一礼し、火葬の準備をした。

炉への扉が開き、なるさんが入っていった。


なるさん。
私は幸せでした。
あなたと出会えて。
愛し。愛されて。
たろうとことりを授かって。
本当に幸せだったよ。
ありがとう。

ゆっくりと炉の扉が閉じた。
その瞬間、うまい言葉が見つからないが、
心が認めたのか?
諦めなのか?
私の中で何かが、変わった気がした。

なるさん。またね…。