2020年に52歳で、食道癌で亡くなった主人と家族のリアルな記録です。
当時の日記を元に、主人が最期まで闘い抜いた事を残したいと思いました。
お読み頂けたら嬉しいです。
なるさん(主人)会社員
私 パート
たろう(息子)高校生・ラグビー部
ことり(娘)小学生
2019.5.25
出かけるのが好きな、なるさん。ずっと
「どこかへ行きたいなぁ」
と言っていた。
そして今回、ことりが
「海が見たい」
と言うので千葉へ行ってみる事にした。
久しぶりの遠出
なるさんと運転を交代しながら、まずは、鋸山を目指した。
そして、なるさんの苦手な(狭い所が苦手)ロープウェイで山頂を目指した。
やっぱり、ロープウェイだけでは、行けず、登る事に…
(ロープウェイ付近の椅子には、足が悪く登れないご老人が数人、景色を眺めながら待っていた)
そして、更に地獄のぞきへ向かった。
下ったと思ったのにまた、登る
ご老体の私は、早い段階から、足が痛くなり、心臓バクバク、息がゼイゼイ。
日頃の運動不足とぽっちゃり体型を反省今だけだけど
抗がん剤治療で、体力が落ち、肺も切除しているなるさんには、キツイキツイ
それでも、一歩一歩、懸命に登っていた。
一方、元気いっぱいのことりは、ぐんぐん上がっていき、振り返っては、歩みの遅い私たちを気遣い、降りてきて
「休みながらで大丈夫だよガンバレー」
と声をかけ、再び足取り軽く上がって行った。
さすが、小学生
無事、3人で登りきり、地獄のぞきへ到着。
素晴らしい景色
頑張って登った甲斐がありました。
なるさんは、出かける時、みんなが楽しめる所をネットで調べてくれている。
お昼には、学校をリノベーションした道の駅 保田小学校で、給食を食べた。
給食にしては、高価だが、海が近いだけあって、アジフライは肉厚でぷりぷりしていて美味しかった。
毎日、給食を食べていることりも、
「ここの給食、美味しいね」
と満足気だった。
食後、なるさんは、プチどんよりタイムが来て、ベンチで休憩。
同じ、どんよりタイムでも、木陰で休んでいるのは、気持ちいいとの事。
その間、ことりは、教室に遊具があるキッズルームで遊んでいた。小さい子が好きなので、一緒に遊んであげたりもした。
道の駅 保田小学校をあとにして、いよいよ、富津の海へ
海を見た瞬間、ことりは大喜び
波打ち際まで行くと、思ったより波の音が大きくて、怖かったようで、最初は、打ち寄せる波から逃げてばかりだったが、慣れてくると、膝まで海に入れた。
しばらく、砂を掘って土手を作ってみたり、貝やシーグラスを探したりと、とても楽しそうだった。
元気に走り回ることり。
こんなにイキイキとした表情を見たのは久しぶりだ
涙が出そうになる
これが、本来のことりの姿だ。
なるさんは、途中から、車の中で休憩。窓から入る海風が気持ちよかったとの事。
帰りにコンビニで、なるさんにスムージーを買ってもらったことり。
嬉しくて楽しくて、おしゃべりが止まらない。
それを嬉しそうに聞くなるさん。
静かになったなぁと、ことりを見ると疲れたのか、眠っていた。
「寝ちゃった」
と私が言うと、なるさんは微笑みながら頷いた。
なんと、幸せな時間
本当は、たろうも一緒だったらよかったのだが、部活で忙しいからなぁ
海ではしゃぐ、ことりを見て、たろうの幼い頃を思い出した。
たろうなら、服のまま、全身ビショビョになって遊んだだろうな
今度は、4人でお出かけできるといいな。