2020年に52歳で、食道癌で亡くなった主人と家族のリアルな記録です。
当時の日記を元に、主人が最期まで闘い抜いた事を残したいと思いました。
お読み頂けたら嬉しいです。
なるさん(主人)会社員
私 パート
たろう(息子)高校生・ラグビー部
ことり(娘)小学生
2018.12.18
G病院 食道外科
1週間前のCT検査の結果
縦隔(気管の部分)リンパ節再発の疑い。
CTではモヤモヤした感じで判断しかねるので、来週、PET検査をし判断するとの事。
もし癌であれば、
抗がん剤+放射線(6週間)
声のかすれも、気管支の周りに集まる神経が、圧迫されているのが原因かもしれないとの事
実は、診察室へ入った時、先生が説明のための図を描いていた。
嫌な予感がしていた
何とも言えない空気。
2人とも、多分、冷静に聞いていた。
受け入れられないだけかもしれないけれど、おかしいくらい冷静に。
何かずっしりとした物に、包み込まれて、ずっと、まとわりつかれ、身動きが取れないような感じがした。
「仕方ないよね。難しいね」
となるさん。
どんな言葉をかけて良いのやら、ただ、いつも通りの私を演じるように会話するしかなかった。
「やっぱり、難しいのかなあ」
と何度も言うなるさん。
私には何ができるでしょうか…
なるさんの不安や苦しみを、少しでも引き受けてあげる事はできるでしょうか
やっぱり、そばにいる事しかできないのでしょうか…
でも、まだ決まったわけじゃない。
祈ろう。
今は祈るしかない。
どうしても、ほんの少しでも、希望の光を消したくない。
だから、答えは、まだ曖昧にしておこう。
会計 440円
病院の帰り、なるさんの実家へ寄って両親に、話をした。
心が痛い。
なるさんは、もっと痛いだろうなぁ。
前回のCT検査を、せっかく、ずらしてもらったのに、結局、ことりの演奏会と重なってしまい、見に行けなくなってしまった。
あぁ
また、ことりに我慢させてしまう。
ごめんね。
演奏会へ行けなくなったことを、ことりに話した。
「いいよ。大丈夫」
と明るく答えることり。
本当は、来て欲しかっただろうに。
優しい子。
でも、その優しさに甘えてはいけない。
ことりは、なんとなく感じ取っている気がする。
なんだか落ち着かない様子だ。