2020年に52歳で、食道癌で亡くなった主人と家族のリアルな記録です。
当時の日記を元に、主人が最期まで闘い抜いた事を残したいと思いました。
お読み頂けたら嬉しいです。
なるさん(主人)会社員
私 パート
たろう(息子)高校生・ラグビー部
ことり(娘)小学生
2018.11.8
恐れている事が起こった。
なるさんが怪我をして帰って来た
お客さんとの会食があり、お酒を飲んだのだそう。
0時過ぎ、玄関を開ける音が聞こえたので、見に行くと、うまく鍵を開けられないなるさんが、壁に張り付いていた
フラフラしている。
鼻筋には血が
左目の下に擦り傷。
どうやら、部下と一緒にタクシーで帰り、家の近くの大きな通りで下車し、転倒したらしい。
そして家へ向かって歩き、2回目の転倒。
やっとの思いで家にたどり着いたとのこと。
しばらく玄関に座り
「情けない」
「何もできない」
と泣きながら
「ごめん」「ごめん
」
となるさんは、何度も謝った。
精神的にもダウン
何とかリビングへ連れてくるものの、着替えもできず、泣きながら机に突っ伏して謝るなるさん
少し落ち着いたころ、着替えをさせようとするも、バランスを崩して転倒。
お尻も打ってしまった
その音に、ことりも起きてきてしまった。
危ないので、1階の和室へ寝かせるも、寝言がすごい
心配で、お父さんの隣に寝たことりが眠れず、リビングへと救出。
なるさんは、しばらく眠っていたが、今度はガタガタと障子を開ける音が聞こえた。慌てて起きると
「トイレへ行くドアがないんだよ」
と障子を何度も開け閉めしていた。
完全なる酔っ払いです。
疲れたからじゃないんです。
酒に呑まれたんです
本人に自覚がないのが怖い
なるさんは、そんなに飲んでないと言う。
確かに、本当に、大した量を飲んでいないのかもしれない。だけど弱くなってるんだよ。
少量=酔わないと思っているのが間違い。
きっと、酔う量も、酔いが回るスピードも、酔い方も以前と変わってしまったんだと思う。
泣きながら
「命を縮めながら飲んでるかもしれないとわかっている。でもできないんだよ」
と言っていたが、仕事だってなんだって、命の方が大事。
家族にとっては、なるさんに変わる人はいないんだから、そこだけは認めたくない。
飲みに行くのはいいけれど、少量のアルコールでも酔いやすいという事を自覚して、もう少しだけセーブして欲しい。
でも、何はともあれ無事に帰ってきてくれてよかった。
ケガ
鼻筋字に傷、左目下擦り傷、左目の周りの腫れ、お尻の痛み、そして心の傷
ことりは、眠いのにお父さんの寝言に一生懸命、答えていた。
「ごめんねー」
と、謝るお父さんに優しく
「大丈夫だよ」
と言っていた。
お父さんが、こんな姿で帰宅してびっくりしたよね。
怖かったよね。
でもお父さんもお仕事頑張ってるんだよ。いろんなものと闘っているんだ。
ごめんね。