2020年に52歳で、食道癌で亡くなった主人と家族のリアルな記録です。
当時の日記を元に、主人が最期まで闘い抜いた事を残したいと思いました。
お読み頂けたら嬉しいです。
なるさん(主人)会社員
私 パート
たろう(息子)高校生・ラグビー部
ことり(娘)小学生
2018.7.31
術後11日目
夜中に、なるさんからLINEが来た。
「ごめん。退院できなくなった」
私は、仕事を12時までで上がらせてもらい、急いで病院へ向かった。
両鼻の穴には、3本のチューブ。
体にも、ドレーンなど、いくつもの管がつけられ、痛々しい姿になっていた
退院に向け、病棟を歩いたり、食べる訓練をしたりと、前向きに頑張っていただけに、精神的ショックはかなり大きかったようだ。
タオルで、溢れ出る涙を拭うなるさん。
私の前で、こんな風に泣くのは初めての事だ
私は、何も言えず、しばらく、なるさんの手に触れていた。
なるさんの苦しみを、少しでも吸い取ってあげられたらいいのに…
先生の説明
2日前に発熱し、昨晩、高熱となった為、急遽、CTなどの検査をした結果、術後の合併症、縫合不全が起こり、飲食物が漏れ膿が溜まってしまったとのこと。
それに対し、膿がある部分にチューブを入れ、吸引。幸い、糸がほつれた部分が再手術するほどではないので、絶食し自然にくっつくのを待つ。
その間、ばい菌等が全身に回らないよう注意し、状況を見て、抗生物質などを使用する。
自然にくっつくまで約2、3週間かかり、その後1週間、再度、食事トレーニングをする。
縫合不全を起こした場所が背中側だったため、チューブがなかなか入らなかったそうで、食道外科の先生、総動員で、処置してくれたそう。
なるさん、夜中に苦しんでいたんだね
ごめんね。
辛い時にそばにいてあげられなくて。
辛いね。
悔しいね。
帰り際、
「また、明日来るね」
と言うと、
「明日も来てくれるの?」
となるさん。
いつもなら、無理しなくていいからとか、ことりの側にいてやってと言うのに…
なるさーん
何もできないけれど、本当はこのまま、一緒にいてあげたかった。
でも、ごめんね。
一度、帰らなくちゃ。
なるさん、また、明日来るからね。
待っててね。