2020年に52歳で、食道癌で亡くなった主人と家族のリアルな記録です。
当時の日記を元に、主人が最期まで闘い抜いた事を残したいと思いました。
お読み頂けたら嬉しいです。
なるさん(主人)会社員
私 パート
たろう(息子)高校生・ラグビー部
ことり(娘)小学生
2018.7.20
G病院 手術
2月7日の健康診断で、癌の疑いがあると言われてから、約5ヶ月半。
3回のキツイ抗がん剤治療(治験)を受け、いよいよ、この日がやってきた。
前日の先生の話に衝撃を受けたが、手術が受けられるという事は、まだ可能性があるという事。とポジティブに考えるしかなかった。
だって希望は失いたくないし。
なにより、なるさんだよ。
諦めるわけがない
なるさんの免疫細胞は、今、全力で闘っているに違いないんだ。
信じよう。
私は8時に病院へ。
病室が変わるので身の回りの物をまとめ、看護師さんから今日の流れの説明を受けた。
8:40 なるさんと歩いて手術室へ移動。
普段は使わない、ベッドごと入れる大きなエレベーターに、看護師さんと私、なるさんで乗った。
流石に、なるさんの表情もこわばっている。
今まで見たこともない、なるさんの不安そうな顔に、かける言葉が見つからない。
無言のまま、しばらくして、大きなエレベーターのドアが開いた。
なるさんは
「行ってくるね」
と微笑んだ。
不安でいっぱいだろうに、私の事を心配してくれているのが感じられた。
優しいなるさん。
私は、なるさんの手を握って
「待ってるからね」
と言った。
なるさんは手術室へと向かいながら、高らかに手を上げた
それは、なるさんが私に、よくやるポーズ。
涙が溢れそうになった
つづく