2020年に52歳で、食道癌で亡くなった主人と家族のリアルな記録です。
当時の日記を元に、主人が最期まで闘い抜いた事を残したいと思いました。
お読み頂けたら嬉しいです。
なるさん(主人)会社員
私 パート
たろう(息子)高校生・ラグビー部
ことり(娘)小学生高学年
2018.2.22
S病院 精密検査の結果説明
やはり食道癌だった。
低分化型扁平上皮癌
ステージ2 or ステージ3
長径 約9cm
左上縦隔リンパ節
(食道癌の転移しやすい部分らしい)
腹リンパ節
に小さい腫れ有り転移かは不明
胃の出口が荒れている
癌なのかは微妙
十二指腸潰瘍あり
今の腹部の痛みの原因と思われる
腹腔鏡手術ができる専門の病院を先生がいくつかあげてくれた。
その中から、なるべく仕事に支障が出ないようにと通院しながら、スムーズに会社へ行けそうなG病院を選んだなるさんは
「家から遠くてごめんね。付き添いをお願いする事もあるかもしれないけれど、基本、1人で行くからさ」
と私に申し訳なさそうに言った。
先生に、
「紹介状は、2.3日掛かります。G病院は、混んでいるので早めに予約を取るように」
と言われ、診察室を出た。
私は、すぐにG病院の予約を取ろうと携帯を出した。
と、そこへ、さっき診察室にいた看護師さんが、息を切らして走って来た。
「奥さ〜ん。もしかして、今、予約を取ろうとしてる」
「はい。」
「まだよ。紹介状が出てからよー。やっぱりー。すぐにでも電話しそうな感じだったから、追いかけてきたの」
たぶん、事務的な事は私が頑張らねばと、すごい前のめりになって先生の話しを聞いていたんだと思う。
そんな私の姿を見て、看護師さんも止めに来たのでしょう。
でも、そりゃ〜そうでしょうよ
1日でも早く治療を開始したいと思うものでしょう。まして、混んでいるなんて聞いたら…
「奥さん、焦りすぎ〜」
と笑いながら言う看護師さんにムッとしたが、飲み込んだ。
確かに焦っている
だからって、笑わなくたって…
だって、主人の内視鏡の映像が出た瞬間…
先生が話す前に、ど素人の私が見たって、これはまずいぞと思うものだったもの。そりゃ〜焦りますよ
そんな気持ちが伝わったのかその日の夕方、病院から、2.3日後と言われた紹介状ができたと連絡があり、すぐに取りに戻った
そして、G病院の予約受付時間ギリギリに電話をかける事ができた。
ありがとうございます
検査結果を聞いた後、出勤しようとスーツを着て来たなるさんだったが、出社せず、一緒に、なるさんの実家へ検査結果を報告しに行った。
まだどんな治療をするのか詳しく分からない中、質問されたり、
「毎年、会社の健康診断に胃カメラくらいプラスしとけばよかったのに」など色々、言われた。
両親も息子が癌だなんて、さぞかしショックを受けた事だろう。
「癌専門病院の有名な先生を紹介してもらったから、頑張るよ。あんまり心配しないで」
と両親に言ったなるさん。
辛いね…
癌だと確定したので、子供たちにも、そろそろ話さなくては…。
2人の明るい笑顔がなくなるかと思うと胸が苦しくなる。
G病院の予約は1週間後。
また、長い1週間がはじまる。